2019日中友好大学生訪中団第1陣

公益社団法人日本中国友好協会(以下、(公社)日中友好協会)は、中国政府の要請を受け、中国日本友好協会(以下、中日友好協会)との協議により、3月21日~3月27日までの6泊7日、北京-深圳-広州へ「2019日中友好大学生訪中団第1陣」を派遣した。日本の大学生が中国の大学生と実際に交流することで相互理解を深め、中国の生活文化に直接触れ、より客観的に中国を理解することを目的とする。全国の大学を対象に学生を募集。応募数398名の中から、59大学の100名が書類審査を経て団員に選抜された。永田哲二団長(当協会常務理事)、伊藤洋平副団長(当協会理事)、山岸清子秘書長(当協会事業部長)、事務局5名、総勢108名(構成6班)の訪中団となった。

 

3月上旬と訪中前日に研修会を行い、出発前夜には中国大使館にて大使館主催の壮行会が行われた。壮行会で郭燕公使は「百聞は一見に如かず」と、実際に自らが感じ、考え、自分の行動で日中関係を促進してほしいと期待を述べ、激励した。永田団長は今年が日中青少年交流推進年であることにふれ、「今回の貴重な体験はこれからの未来の日中友好を担う若い団員の人生にとって極めて意義深い」と語った。学生代表の志村敦弘さん(工学院大学3年)は訪中する機会を頂いたことへの謝意を述べ、「日中の関係をより良いものにできるように実りのある1週間にしたい。実際に現地に行くことで自分自身の中国に対する価値観を形成したい。」と挨拶した。

 

到着日の北京は抜けるような青空が広がり、閉館に近い時間だったからか珍しく人の少ない故宮博物院を見学した。翌日22日は中国のシリコンバレーと呼ばれる中関村創業大街で、顔認証システムやIOT、AIの最新技術を見学。午後は対照的に、人間国宝に相当する代表伝承人の指導のもと、中国無形文化遺産(筆制作、泥人形色付け)の体験をした。夜は好苑建国商務酒店で歓迎会が催され、中国側代表宋敬武・中国人民対外友好協会副会長は「花咲くや、友情満ちる若き友」と若者の友情をたたえる句で訪中団を迎え、「学生の皆さんには現在の中国を感じてもらうと同時に、日中関係の発展がアジア・世界にとって重要な意義をもつことを意識し、日中友好のために貢献してほしい」と挨拶した。また、四方敬之・在中国日本国大使館特命全権公使は「訪中で得た体験を情報発信して日中の相互理解につなげてほしい。今回知り合う中国の学生との交流を継続してほしい」と語った。

 

北京での交流大学・国際関係学院では、大ホールでの双方代表の挨拶、記念品贈呈等の歓迎セレモニーに続き、グループごとに教室に分かれ、学生同士の直接交流が行われた。昼食を共に取った後は、学院の近くにある世界遺産・頤和園へ。天気にも恵まれ、写真を撮り合ったり、おしゃべりをしたりと打ち解けてゆく様子が見て取れた。学院へ戻ってからは、午前から引き続き、グループごとのテーマ(大学で学ぶ意義、将来の夢、SNSの現状等)にそってディスカッションを進めたが、与えられたテーマに限らず様々な話題で盛り上がり、「国籍も生まれも育ちも文化も違う人達と、一日でとても仲良くなることができた。互いを知ろう、理解しようとする姿勢がそうさせた」との感想も聞こえた。感想交流会ではグループ発表の後、日中それぞれのパフォーマンスがにぎやかに披露された。夕食も学生食堂で共に取り、中国の学生のほとんどが利用しているSNS・ウィーチャット(微信)で連絡先を交換し、学院を後にした。

 

華南地方のシリコンバレー・深圳では最先端技術で世界をリードするIT企業・華為(ファーウェイ)を訪問。ビッグデータを活用した最新技術等を見学した。学生達は先端技術もさることながら、その背景にある中国の革新性やチャレンジ精神に大いに刺激を受けた様子であった。

高速鉄道で広州に入ったその夜は、華南地方を代表する珠江を豪華客船で遊覧し、その豪華さときらびやかな夜景に感激の声がもれた。広州では広東外語外貿大学を訪問。歓迎式で広東省人民対外友好協会・欧陽江旋副会長は「互いの理解を深め、「平和・発展・協力」をテーマとして今後の日中友好、アジア、世界の発展に尽力してほしい」と挨拶した。その後、グループに分かれ、テーマ(家族とは、介護問題、医療問題、結婚について、幸せとは何か等)にそってディスカッションを進め、グループごとに発表。「中国では学生は恋愛よりも学業」「家族は大事だが、日本では血縁関係のつながりは希薄」等々、他のグループの発表にも皆が興味深く耳を傾けた。

 

最後にこの7日間を振り返り、代表者3名が感想を述べた。
▼「自分の訪中テーマは、日本と中国の違いを見つけ、そこから中国を理解することだった。出会った人々に、その違いを聞いてみたが、違いを見つけるごとに、日本と中国との繋がりや類似点が多く見つかった。環境や文化は異なるが、みんな変わらない」
▼「自分の目で見て肌で感じたことを忘れずに日本に持ち帰り、自身が日中関係の発展に貢献できるよう、出来ることを探していきたい」
▼「中国の大学生と接する中で国境は関係ないということを実感した。言葉の壁や文化の違い考え方の違いによる壁は少なからずあるが、同じ内容で笑い合ったり、1つのことについて一緒に議論できる相手の国を思える関係は、そんな壁を忘れさせてくれた」

 

歓送会には、北京から中日友好協会の程海波副秘書長もかけつけ「一期一会の言葉の通り、今後、学生の皆さんには大学同士の交流の継続と、日中両国の友好のために尽力することを希望する」と語った。団員はプログラムに参加する中で、現地の学生と積極的に交流し親交を深めた。各自がこの7日間で何かを得ようと行動している姿が印象的であった。乾燥した空気の中、体調を崩す者も出たが、帰国日には全員が元気に帰国。実際に会って交流することの大切さをこの度も感じた7日間であった。

今回、この事業にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼を申し上げたい。

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