2018日中友好大学生訪中団 ― 友好協会分団

公益社団法人日本中国友好協会(以下、(公社)日中友好協会)は中国政府の要請を受け、北京市人民対外友好協会(以下、北京市対友協)との協議により、2018年8月27日から9月2日までの6泊7日、北京―杭州―上海へ「2018日中友好大学生訪中団」を派遣した。日本の大学生が中国の大学生と実際に交流することで相互理解を深め、中国の生活文化に直接触れ、より客観的に中国を理解することを目的とする。今年は日中平和友好条約締結40周年であることから、訪中団の枠を拡大。日本からは当協会を含めた6団体(早稲田孔子学院、大阪総領事館、少林寺拳法連盟、日中文化交流協会、創価大学)が派遣する、約500名の「日中友好大学生訪中団」となった(当協会分団名は「友好協会分団」)。友好協会分団は、西堀正司団長(当協会専務理事)、山岸清子秘書長(当協会事業部長)、事務局7名、学習院大学(11名)、慶應義塾大学(11名)、昭和女子大学(11名)、中央大学(11名)、津田塾大学(12名)東京大学(11名)、東京外国語大学(11名)、東京女子大学(11名)、山口大学(11名)の総勢109名の構成となった。6分団は各々のプログラムの他、8月29日に北京大学に集い、中国の大学生500名と共に「千人交流大会」に参加した。

(以下、友好協会分団概要)

出発前日、成田空港近くのホテルで事前研修会を行った。訪中団概要説明、各大学班長挨拶、学生代表(津田塾大学 石田ちひろさん)選出等を行った。また、事前学習として当協会橋本逸男副会長(元上海総領事)を講師に迎え「今、日本の大学生として訪中する意義」について講義を受けた。夜の結団式では他大学の学生との日日交流(日本人同士の交流)も進み、友好協会分団として出発するという一体感が感じられた。

出発当日は、午後の便で成田空港から北京へ。北京空港では北京市対友協の高双進副会長、支建軍副秘書長、劉萌職員の出迎えを受け、花束で歓迎された。夜の到着だったため、一行はそのままレストランに向かい、初めての本場中国料理を味わった。
北京滞在中は、北京第二外国語学院日本語専攻の学生達が行動を共にしてくれ、万里の長城に向かうバスの中から交流が始まった。その日の午後は若者の起業を応援する「北京創業公社」を見学。意見交換の場では「台湾企業とのつながりは?」「日本の企業との連携は?」「創業公社の利益はどこから?」等々、積極的に質問があがった。創業公社見学後は団役員と班長らは、この度の受け入れ機関である北京市対友協を表敬訪問。張福森名誉会長、田雁常務副会長、この訪中団の主催者として日本から駆けつけていらした汪婉中国駐日本国大使館参事官等の出迎えを受け、西堀団長はこの度の受け入れに対して感謝の意を述べた。その夜は宿泊ホテル内で北京市対友協主催の歓迎会が行われ、田雁常務副会長、汪婉参事官、北京第二外国語学院関係者等が出席。田雁常務副会長は「民間交流は重要。先人たちはたゆまぬ努力を続けてきた。若い世代の交流で今後もこの流れを続けて行くことが大切」と挨拶した。西堀団長は「毛沢東主席は「青年は午前の太陽」と話した。今回参加した学生は日本の未来の代表であり、多方面で主力となることだろう。日本の学生も中国の学生も自分の考えを相手に伝え、相手の考えも聞いて、相互理解をしてほしい」と挨拶した。汪婉参事官は、自分の経験を紹介しながら「若い頃の交流はとても大切。自分とは違う生活スタイル、違う価値観を持つ同世代の友人との交流は戸惑うこともあるかもしれないが、それを乗り越えて更に太い関係を気づいてほしい」と語った。続いて両国の学生代表が日本側は中国語で、中国側は日本語で挨拶をした(日本側は津田塾大学 持田詩帆さん)。双方の学生によるパフォーマンスは、日本側は山口大がソーラン節、津田塾大と東京女子大が女性2部合唱を披露した。

翌日は今回の大きな目的である「千人交流」に参加するため北京大学へ。午前中は3つのグループに分かれ、北京大学の「国際関係学院(国際関係学部)」「燕京学堂(中国事情を研究する大学院研究科)」「山鷹社(山岳サークル)」とそれぞれ小人数に分かれてのディスカッション、ロッククライミング体験等を通して交流した。その後は広大なキャンパスや大学内博物館等を北京大学の学生の案内で見学し、学食で昼食を取る流れとなった。午後は日本側6分団(約500名)と中国側学生(約500名)が北京大学百周年記念講堂に集まり、駐日中国大使館主催の式典に参加。日本側の少林寺拳法や中国側の伝統劇が披露され、式典のオープニングを飾った。また、オープニングの総合司会は日中それぞれの大学生から選出し、日本側は友好協会分団の団員・小松詩織さん(東京大学)が担当した。続く式典では中国からは李克強国務院総理の祝辞が、日本からは安倍晋三内閣総理大臣の祝辞がそれぞれ代読され、この行事への日中政府双方の思いが感じられた。来賓の陳宝生中国教育部部長は「日中両国の関係発展は、アジア地域そして世界の発展につながる。特に若者の交流が大切。先人の日中友好への努力を継承し、お互いに学び合い、相手を理解することが必要」と挨拶した。日本側来賓として出席した林芳正文部科学大臣は「予測困難な現代で、若い世代が国境を越えて協力し、答えのない問題を解決する力を身に着けることが重要。人と人との協力が大きな支えになる。未来の姿を協力関係のもとに共に描いてもらいたい」と挨拶した。締めくくりは日中双方の学生代表(日本側は日中文化交流協会分団の中島空太さん(東京大学)。中国側は張怡軒さん(北京大学))が挨拶をし、相手を理解する努力、交流する努力を続けてゆくことを誓った。1000人が同じ場所で同じ時間を共有したことで、皆の思いがひとつになったひと時だった。

北京での交流プログラムを終えた翌日、一行は故宮博物院を見学後、北京市対友協・高双進副会長、支建軍副秘書長、劉萌職員、中国青年旅行社・葛余鈞氏に同行いただき、空路浙江省杭州へ移動した。杭州では、浙江大学紫金港キャンパスを訪問。新学期が始まる前であったが、浙江大学以外の日本語専攻学生にも声をかけていただいた関係で多くの学生が出迎えてくれ、「歓迎歓迎」の声に団員の顔もほころんだ。午前中だけの短い時間ではあったが、少人数でディスカッションができ、日中双方の学生生活や将来について等々、話はつきない様子だった。午後は風光明媚な杭州の市内を観光した。

翌日は陸路で大都会上海へ。近未来的な高層ビルが林立する上海の姿に感嘆の声があがり、写真撮影に夢中になった。訪中団最後の夕食時には、号車ごとに感想を発表。1号車の益田知樹さん(東京大学)は「日中交流の基本は相手を知ること。この訪中を通してその一歩が踏み出せた」、長田喬士郎さん(中央大学)は「訪中で中国のイメージが変わった。また訪れたい国のひとつになった。中国は若者主導型の社会だと感じた。日本も若者が活躍できる社会になれば。日中交流は民間レベルの交流が大切だと感じた。みんなで民間交流を代表して行こう」、田中賢さん(山口大学)は、「実際に中国に来てみて、中国の方々の温かさを感じた。固定観念にとらわれず、五感を通じて感じることが大切だと思った。大学生のうちにこのような経験ができてよかった」とそれぞれ感想を述べた。最後に学生代表の石田ちひろさんは「訪中団とは何かと考えた時、旅行とは違い、同じ志を持った仲間と交流経験を共有することだと思った。この体験を次に受け継ぐことがこの訪中団の成功になる。皆さん、これからも交流を続けて行きましょう!」と全団員に呼びかけた。

団員は積極的にプログラムに参加し、現地の学生と交流し、内容の濃い6泊7日を過ごした。特別行事参加を含む忙しいスケジュールであったが、大きく体調を崩す学生も出ず、全員が元気に帰国の途についた。実際に会って交流することの大切さをこの度も感じた7日間であった。

 

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