2016日中友好大学生訪中団 第3陣

公益社団法人日本中国友好協会(以下、(公社)日中友好協会)は中国政府の要請を受け、中国日本友好協会(以下、中日友好協会)との協議により、10月13日から10月19日までの6泊7日、北京―西安―上海へ「2016日中友好大学生訪中団第3陣」を派遣した。日本の大学生が中国の大学生と実際に交流することで相互理解を深め、中国の生活文化に直接触れ、より客観的に中国を理解することを目的とする。団員は、全国の大学を対象に募集。応募数183名(75大学)の中から、24都道府県58大学の97名が書類審査を経て団員に選抜された。大薮二朗団長(当協会常務理事)、山岸清子秘書長(当協会事業部長)、事務局6名を加え、総勢105名(構成6班)の訪中団となった。

9月中旬に第一回研修会を、出発前日に第二回研修会を行い、その日の夜に中国大使館にて壮行会が行われた。壮行会では劉少賓公使より「同世代の人々との交流は中日関係を確認する良い機会となるだろう。1.中国に行く時は目を大きく開けて=中国の様々なものをしっかり見ること。2.帰国したら口を大きく開ける=見聞きした物事を周りの人たちに伝えてほしい。」と激励の言葉が贈られた。訪中団を引率する大薮団長は「日中の若い世代の交流が大きな力になるだろう。今回の訪中を機に、日本と中国の関係を考えてほしい。」と語った。また学生代表の白濱篤さん(京都工芸繊維大学4年)は「代表の自覚と責任感を持って、次の世代にバトンを渡したい。1)日中両国の各分野での交流を促進するため、中国の経済面や環境面など、様々な諸事情について身をもって体験する。2)中国を訪問し真の姿を見て、その体験を国内外で周りの人たちに伝える。3)訪中で得たものを個々の将来のビジョンの中で活かしていく。この3点を目標に訪中したい」と決意を述べた。また、当初他用で壮行会はご欠席の予定だった程永華大使が福田元首相と共に急遽駆けつけてくださり、お二人からご挨拶をいただくというサプライズがあった。

北京到着時から滞在中の2日間は残念ながら空気の状態は悪かったが、初めて中国を訪れた団員達はこの現実を踏まえながら積極的に中国を捉えようとしている様子だった。万里の長城の雄大な景色に感嘆の声を上げた後は、多くの外交官を輩出している国際関係学院へ。学食で共に昼食を取った後、日本語交流組と英語交流組に分かれ、「大学生活」「恋愛観」「仕事と人生」等について話し、交流を深めた。総括の場で孫志明副学長は「交流とは両国の未来を考えること。今回の訪中で中国のいろいろなところ、平和を愛し、迅速な発展を遂げる姿を見て、たくさんの友人を作ってほしい。そして中国で見聞きしたことを周囲の人と分かち合ってほしい。」と述べた。
その夜は貴賓楼飯店で歓迎会が行われ、袁敏道中日友好協会秘書長、程海波中日友好協会副秘書長、川上文博公使参事官、国際関係学院関係者等が出席。袁敏道秘書長は「両国の友好は重要である。青少年は国の未来を担う希望である。訪問の機会を活かし、帰国後は見聞き体験したことを周囲と分かち合ってほしい。両国の若者が手を携え、明るい未来を切り開くよう願ってやまない。」と挨拶された。 日中双方の学生によるにぎやかなパフォーマンスも繰り広げられ、楽しいひと時となった。翌日、故宮博物院や北京オリンピック施設の参観後、空路陝西省西安へと移動した。

西安初日は日曜日だったこともあり、観光からスタートした。市内をぐるりとめぐる城壁、国内見学者で溢れる陝西省博物館、2千年の歴史を感じることのできる兵馬俑博物館、と古都ならではの雰囲気を満喫した。西安2日目の午前は2校目の交流先である西安外国語大学へ。この大学は通訳や外事弁公室職員等を多く輩出していることで知られる。大学に到着すると日本語が堪能な毋育新院長が出迎えてくださった。院長は「国と国との間は利益で結ばれているが、人と人との間は心で結ばれている。日本のことわざにも「継続は力なり」という。交流を結び、継続してほしい。」と挨拶された。階段教室に案内されると日本語学科の学生が笑顔で迎えてくれた。中国人学生の横の椅子には、日本側学生の名前が明記されており、1対1の交流を用意していただいた。言葉の壁も無く、思う存分密な交流ができた様子だった。勉強とアルバイトの両立、SNSのメリット・デメリット等の、学生に共通する親しみやすいテーマだったため、話がはずんだ様子だった。その後共に学食で昼食を取り、大学を後にした。午後には3校目の交流先・西安培華学院へ。西安培華学院は中国西部最大の私立大学であり、学生と一緒に学院内を見学後、書道や中国茶道を見学・参加した。夕方からは歓送会が学内で行われ、日中の学生による寸劇や、本格舞踊等のパフォーマンスが披露された。また、バス号車の学生代表から「日本にいるときに知ることができなかった中国の魅力に出会った。全てが新鮮だった。中国の未来を担う学生がいかに真面目で努力しているかを知った。同じ大学生としてもっと努力をしなければと思った。今回の訪中を通じて、メディアを通してではなく、自分の目で見て知ることの大切さを知った。人と人とのつながりは日中友好の架け橋であると思う。今後は今回得たものを周囲に伝える活動を続けていきたい。」などの感想発表があった。

最終訪問地の上海では、人気の買い物・散策エリアの田子坊や、租界時代と近未来的な建物が一望できる外灘参観という日程が組まれ、学生たちは中国で過ごす最後の日を思う存分満喫した。

団員は積極的にプログラムに参加し、現地の学生と交流し、内容の濃い6泊7日を過ごした。大きく体調を崩す学生も出ず、全員が元気に帰国の途についた。実際に会って交流することの大切さをこの度も感じた7日間であった。

今回この事業にご協力いただいた、全ての方々に厚く御礼を申し上げます。

 

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