2017日中友好大学生訪中団 第1陣

公益社団法人日本中国友好協会(以下、(公社)日中友好協会)は、中国政府の要請を受け、中国日本友好協会(以下、中日友好協会)との協議により、3月23日~3月29日までの6泊7日、北京-曲阜-済南-上海へ「2017日中友好大学生訪中団第1陣」を派遣した。日本の大学生が中国の大学生と実際に交流することで相互理解を深め、中国の生活文化に直接触れ、より客観的に中国を理解することを目的とする。全国の大学を対象に一般交流の学生を募集した他、中国側の要請により囲碁を嗜む学生も募集。応募数210名の中から、27都道府県53大学の99名が書類審査を経て団員に選抜された(一般団69名、囲碁団30名)。酒井哲夫団長(当協会副会長)、永田哲二秘書長(当協会常務理事)、事務局8名を加え、総勢109名(構成6班)の訪中団となった。

3月初旬に都内にて第一回研修会を、訪中前日に中国大使館内にて第二回研修会を行い、その晩に大使館主催の壮行会が行われた。壮行会で郭燕公使は「中日友好の土台は民間にあり。これが中日関係の強み、優れた伝統でもある。青少年交流は両国関係の非常に重要なシンボルであり、両国関係と両国国民感情の改善と発展において大変重要な役割を果たしている。」と語り、これから訪中する大学生へ激励のメッセージを送られた。酒井団長は挨拶の中で、これまでの日中間の歴史、問題、友好提携都市交流等について触れ「民間交流が政治を変えていく必要がある」と語った。学生代表の池田剛さん(立命館大学3年)は「今回の訪中を通して生の中国を実感し、私たちの中国観を広めたい。」と挨拶した。

出発当日は、午後の便で成田空港から北京へ。翌日午前は万里の長城を観光する予定だったが天候が悪く、急遽行き先を頤和園へと変更した。午後からは一般団と囲碁団に分かれ、一般団は外交官を育成する国際関係学院を訪問した。孫志明副学長は挨拶の中で「両国人民の世世代代に渡る友好は、両国の根本的な利益に合致している。また人類が平和と発展を求める歴史の流れとも合致している。戦争をせず、平和を求め、対立せず、協力を進めることは、中日青年がともに求める目標とともに努力する方向となるはずである。」と述べられた。学生交流では英語班と日本語班に分かれ、「相互理解」「固定観念」「恋愛観」「日中関係」等、多岐にわたるテーマについて話し合い、交流を深めた。

一方、囲碁団は中国棋院を訪問し、個人戦に臨んだ。世界大学生チャンピオンを含む、上級有段者が多い日本側精鋭達と、重点大学等から選抜された中国側強者との熱戦が繰り広げられた。「言葉」の代わりに「囲碁」で交わす熱い対局の様子はマスコミでも取り上げられ、「中国棋院」ネットではその実況が中継された。その日の晩、貴賓楼飯店で歓迎宴が催され、宋敬武中国人民対外友好協会副会長、程海波中日友好協会副秘書長、国際関係学院関係者が出席。宋敬武副会長は「“百聞は一見に如かず”という中国の古い言葉通り、中国の若者たちと触れ合って交流し、今回の訪中を家族や友人と分かち合うことを望んでいる。今後、両国の大学生が手を携えて交流し、中日友好の懸け橋となり、両国関係の美しい未来を切り開くことを願っている。」と述べられた。歓迎宴では、国際関係学院の学生による中国時代物衣装のファッションショー、中央音楽学院の学生による楽器演奏が披露された。楽しいひと時は、日本側学生全員による「小さな世界」の合唱で幕を閉じた。

翌日は故宮博物院を見学後、新幹線で孔子生誕の地・山東省曲阜へ。曲阜駅に到着すると、山東省人民政府外事弁公室・山東省人民対外友好協会の趙広洪氏をはじめ、多くの方々に迎えられた。曲阜滞在中は、趙広洪氏の丁寧な説明により、孔子廟、孔府、孔林等に関する知識を深めることが出来た。孔子廟では祭孔儀式を観賞する機会にも恵まれた。翌日は市内見学の後、一般団は山東大学を訪問。現地学生と共通テーマでディスカッションをした後、共に大学内の博物館を見学する等して交流を深めた。囲碁団は囲碁協会を訪問し、北京での対戦同様ここでも熱戦が繰り広げられた。囲碁を通して友好を深めるだけではなく、中国囲碁への理解も深めることができた。夜の歓送会には、北京から袁敏道中日友好協会秘書長も駆けつけ、出席された。陳子江山東大学副校長から乾杯のご挨拶をいただいた後、日本側学生より武術、ダンス、書道パフォーマンス等が披露され、楽しいひと時となった。また、この度の訪中を振り返り、各号車の学生代表から「これからの日中関係を担うのは自分たち。困難があってもお互いに手を取り合えば乗り越えられる」「実際に中国を訪れ様々な体験をし、中国は「近くて遠い国」から「近くて近い国」に変わった」「訪中前の中国に対する印象はメディアの影響が大きかったが、実際に生の中国にふれることで、新しい中国観を持つようになった」等の感想が述べられた。

最終訪問地の上海では、人気買い物エリア・田子坊や、租界時代の建物と近未来的な建物が一望できる外灘を見学する等、学生たちは中国で過ごす最後の時間を楽しんだ。

団員はプログラムに参加する中で、現地の学生と積極的に交流し親交を深めた。各自がこの7日間で何かを得ようと行動している姿が印象的であった。内容の濃い7日間であったが、団員のほとんどが初めての中国であり、寒暖の差等も影響してか、体調不良者が多く出てしまったことは残念であった。事前準備、現地での自己管理等、今後の課題となった。

今回、この事業にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼を申し上げます。

 

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