中国政府奨学生を経験して

中国政府奨学生OBから寄せられた体験談を掲載しています。

日中友好協会では留学後も様々なプログラムを通じて中国との関わりを継続することができます。

(現在の所属、氏名、留学年、留学した大学)

卸売業 小林廷奈さん 2017年 西安交通大学(西安

大学卒業後は観光業に携わり日本と中国の魅力を伝えたいと思い、語学力向上と知見を広めることを目的として留学しました。留学で得たものは以下の三点です。
第一に、語学力が向上しました。中国語漬けの生活でしたので日本で同じ期間勉強するより上達が早く、特にリスニング力が伸びました。
第二に、複数の視点で考える習慣がつきました。例えばニュースを見た時に、他の国はどうだろうと比較したり、立場を変えて考えたりするようになりました。

第三に、様々な選択肢があると気が付きました。大学を卒業し、就職するという流れに当てはまらないクラスメイトが大勢いて、就職活動に苦戦した時には日本での就職以外にも道があるというのが心の支えになりました。
現在、中国語を使わない職種で働いていますが、留学中に得たものは自分の糧になり、自信につながる有意義な経験だったと感じています。

(2020年掲載)

京都大学文学部 平井良江さん 2017年 復旦大学(上

留学中は、新しい発見の喜びと、思い通りに行かないもどかしさで満ち溢れていた。「公園に行くと超大音量で音楽かけて踊ってるおばさんグループがいる」とか、「タクシーに変なとこ連れてこられた」、「中国語通じない!」とか…。この喜びやもどかしさの経験が、自分の興味に突き進む度胸と自信になっていると感じる。

今までは海外で研究することなど考えてもいなかったが、公園でおばさんグループが踊っていた広場舞に興味を持った私は、それを卒業論文のテーマにした。海外での研究を行う奨学金をもらい、上海にて「広場舞がコミュニティ形成に及ぼす影響」についてのフィールド調査を行った。高齢者の中には普通語を話せない人、研究に協力的でない人もおり、問題は山積みであった。しかし、毎日通って信頼を勝ち取ることで、翻訳してくれる人や研究を認めてくれる人が増え、無事に調査を終えて論文を完成することが出来た。留学で得た様々な体験が、今新しいことを始めるきっかけとなり、それを完遂する力となっている。

(2020年掲載)

IT企業勤務

柳原汐理さん

2016年 陝西師範大学(西安)

私は今、中国語とは無縁の職場で働いています。留学したのに中国語を活かさないのは勿体無いという声が聞こえてきそうですが、私はそうは思いません。私が留学へ行き得たもの、それは他人の作る価値観に惑わされない力です。私達は日本で暮らす中で「こうであるべき」というような固定概念が無意識のうちに育ちがちです。中国での留学生活は、自分が今まで「普通」だと信じてきたその価値観が通用しない場面が多々あります。そのような場面との遭遇や日本とは違う習慣、コミュニケーションの取り方を体感する事は、無意識の固定概念を顕在化させ、一掃するきっかけとなります。既存の価値観が壊される事により、何が正しいのか自分の中で考える事となるでしょう。自分の頭で思考する事は、周りに迎合せず、自分の理想の人生を選び取る力を養ってくれます。留学を迷っている人は是非飛び込んでみてほしいと思います。今あなたの決断を悩ませている事柄も、中国では大した事ない悩みに変わるかもしれません。

(2020年掲載)

2016年 対外経済貿易大学(北京)

日本で社会人を数年経験、帰国後に中国語を使う職種へ転職することを目標に語学留学を決意しました。

対外経済貿易大学を第一志望にした理由はビジネス中国語コースがあると下調べで分かったからです。中国の友人には「“商务汉语(ビジネス中国語)”って中国人でも習ったことないよ!」と言われましたが(笑)経済や貿易等を主なトピックとするテキストを使用して、聞く・書く・話す・読むを多国籍の“同学”たちと楽しく勉強させてもらいました。

帰国後、当初の目標を果たし日系メーカーで働いています。この留学で得たものは数え切れないほど多くありますが、留学を検討されてる方に向けて3つ挙げるなら、

1.語学力の向上(特にスピーキング)

2.グローバルな人脈作り(現地の学生は各地方から進学、留学生も多国籍)

3.視野を広げて将来を考えられた(色んな人がいて、色んな選択肢があることを実感)

でしょうか。貴重な機会を頂き、本当に感謝しています。

(2020年掲載)

中国企業勤務 Kさん 2015年 中山大学(広東省)

私は2015年に広東省中山大学で、学ばせていただく機会をいただきました。

もともと将来設計として中国広東省での勤務を予定していた私は【現地の情報収集能力】、【中国人との人間関係構築法】の獲得のために、留学期間内で多くの時間を費やしました。

語学そのものは現代ではどこでも学習できる現代、社会人が自身の貴重な時間と思考力を活用して学ぶべきことは、能動的に吸収できる領域だと思います。

どのような情報媒体が中国ビジネス情報収集に適しているか、加えて中国現地情報に対して中国人がどのように考えているか議論を以って学ぶこと。中国社会における本音と建前はどこにあるのか、流暢ではない中国語を如何に活用して人間関係を形成していくこと。

知識を体験へと出力できる環境、これこそが海外現地での留学と、私は留学が終了した今でも常々感じています。日本で生活する中国人が80万人いる中、方向性を見定めて留学するのが社会人留学成功の秘訣ではないでしょうか?

(2021年掲載)

2012年 中国政法大学(北京)

留学に行く前は中国語は全く話せませんでした。留学中は中国語を学ぶ留学生は1人という非常に恵まれた環境でした。留学半年後の3月にはHSK6級に合格し、帰国後は内閣府の国際交流事業で通訳として勤められるまでになりました。
帰国後、中国語を話せる環境を持ち続けられるかが心配な方も多いと思います。私もそうでした。そのため、帰国後に東京都日中友好協会に入会しました。結果として、中国大使館や日本にいる中国の方々と接する機会を継続的に持つことができています。
大学にも中国関係のサークルはありますが、大学の団体だと卒業すると終わりです。しかし、日中友好協会であれば、卒業後も関わり続けることができます。長く関わり続ければ続けるほど老朋友になれるので、早い段階から協会の活動に関わっているのは強みだと思います。
中国政法大学は中国では有名ですが、日本では知られていないため、日本人が少なく、学ぶ環境も充実しているのでお勧めです。(2020年掲載)

双日株式会社 海外業務部中国デスクリーダー 林千野さん
1980年〜1984年 北京語言学院(現北京語言大学)

 中国が改革開放に舵を切って間もない80年代初めに、北京語言学院(現北京語言大学)に留学しました。当時はまだ資本主義国からの留学生は少数派で、中国と政治的関係が良いアフリカやアラブ諸国、そしてユーゴスラビアや北朝鮮などの社会主義国の学生が大半を占めていました。国際色豊かなキャンパスで、中国人学生のみならず、多くの国々の留学生と友人になり、覚えたての中国語でいろいろな話しをするうちに、世界は多様性に満ちており、日本の常識が必ずしも世界の常識でないこと身を以って感じました。卒業後は商社に就職し、家具や敷物などの輸入担当として約10年間仕事をした後、結婚・出産を機に管理部門に異動、約4年半の北京駐在を経て、現在は中国・北東アジア地域の業務担当をしています。留学時代に培った「多様性の受容と尊重」という視点は、中国をはじめとする世界各国の人々と仕事をする上で、私の精神的バックボーンになっています。(2020年掲載)

中国の大学についての相談も問い合わせフォームから受け付けています。