フリーマガジン「Concierge」企業訪問レポート 伊藤真弥(2022上海外国語大学)

私は、上海でフリーマガジンを発行する「Concierge」さんで約2カ月インターン生として、編集長の金子さんに指導していただきました。本誌は、多くの駐在員の愛読本となっており、現地であった駐在員の方々とは必ずと言ってよいほど本誌の内容で盛り上がりました。「Concierge」さんは現在、WEB、微信、紙面など多様な媒体から閲覧可能なため、ぜひ一度目を通していただきたいです。

このレポートでは中国で長年続く企業の、「Concierge」さんの読者を引き付ける魅力と中国で働くことについてお伝えできればと思います。

「Concierge」さんは、毎月4万部以上の発行数がある上海初の日本語版の現地情報フリーマガジンです。当初から変わらない明確なターゲット設定によって記事がぶれないことも長年愛されている理由ではないでしょうか。また、新たな試みや自身のアイディアを実行しやすい職場だそうです。企画をいくつか紹介していただき発想力の豊かさに驚きました。私は発想力が乏しいため教えを乞いたかったのですが、金子さんはおもしろそうと思うことを企画として挙げているそうでセンスには敵わないなと感じました。

仕事中の連絡はほぼ微信を使用しているということもあり、仕事のスピード感が日本と比べてはるかに速いそうです。日本では、メールでのやり取り、確認に次ぐ確認と細部まで見落としがないように仕事を進めていくことが多いです。中国では、担当者の方との連絡や記事の内容の確認に至っても微信を使用しているとのことで、ごく短い時間で記事が完成するとのことです。同行時も、名刺交換とともに微信交換をしており、中国ではビジネススタイルを現地に対応させた方が効率よく仕事が進められることを学びました。

さらに今回は、雑誌社でのインターンということも相まって通常よりも多数の業界を見ることができました。金子さんが当初から仰っていた「上海での日本人の働き方を見て感じてほしい」という言葉通り、取材やイベントに同行させていただく中で、外国で働くということを体感しました。上海における日本企業の数は中国の中でも特段多いことは知っていましたが、駐在員、現地採用として働く日本人の数も多いことには驚きました。イベントは中国企業に向けたものが大半を占めているため、ある企業の方は日本市場とは売り方を変えているとも話しており、日本と同様の販売方法では他国では上手くいかないことの方が多いとのことです。しかし、中国に合わせた販売方法を取れば売れるということは、日本商品の人気の高さが窺えます。その中で日本人の方が通訳を介さず、中国人相手に自身で商品説明、営業を行っている場面を何度も目にしました。日本人が活躍している姿を見たことで、上海で働くことは自己成長にも繋がっていると思いました。また中国で働いていくには、人脈がとても大切だということも感じました。「Concierge」さんが協賛しているセミナーに一度参加しましたが、駐在員の方々が名刺交換など積極的にしていました。私も名刺をいただいた方々とお話しさせていただき、「このような場で知り合うことで、万が一の緊急時にも助け合えるかもしれない」という意見もあり、人との繋がりをビジネス観点で考えるだけでなく、上海に住む日本人として相互扶助の面もあることが垣間見えました。金子さんも毎回のように紹介を通して、人脈を広げていました。出版業界は人の繋がりを通して仕事に繋げられることはもちろんですが、幅が広がることで入手できる情報量も増え、アイディアの創造にも繋がっているのではないかと考えています。ここに記載した以外にも多くのことを経験させていただき、今後の自身のキャリアを考える上で今回の経験がとても役に立っています。

金子さんとは年齢も近く、私と同様に社会人経験を経て、中国留学をしたという共通点もあり、インターンの合間にも様々な相談にのっていただきました。インターンを受け入れてくれた「Concierge」さん、そし金子さんにはこの場を借りて感謝の意を伝えさせていただきたいです。短い間でしたが、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。