「落ち込んでいてもしかたない」染谷圭秀(北京第二外国語学院)

長かった冬休みが終わり、つい先日ようやく後期の授業が始まった。後期から新たに参加する留学生も増え、現在は国籍色豊かな総勢20名ほどが授業を受けている。先生も2人入れ替わった。後期も引き続き同じ先生が担当すると思っていたので、先生が替わることに驚いたし、寂しかった。親身になって教えていただいた先生方にはとても感謝している。画面を通したオンライン上での交流であっても、先生方の暖かさが伝わってきたし、もっとたくさんの中国人と交流を深めたいという思いがますます強くなった。

(写真1) 前期の最後にミーティングアプリ上で撮った集合写真。替わってしまった先生がいて悲しい。

 

ここ一年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、今までの普通とはかけ離れた社会での生活を強いられた年であった。そして、9月からはオンライン留学が始まったわけだが、この半年間は本当にあっという間だったなと思う。

留学を延期せずに9月から開始する決断をした僕は、中国に行ける希望をもって、日々コロナウイルスの感染拡大状況を注視していた。感染者数が一時的に減って、留学生の渡航制限解除の期待が高まったこともあったが、残念ながら、この期待は現実とはならずに、落ち込むことも多かった。

コロナウイルスの感染拡大は自分の努力ではどうしようもなく、あまりにも非現実的な状況であって、「しょうがない」「運が悪かった」のような言葉で簡単に諦めをつけることは難しかった。

しかし、ずっと落ち込んでいてもしかたない。「人間万事塞翁が馬」、現在の状況がこれからの人生において、糧になる日がきっとくるはずであるし、そうするためにも1日1日を大切に過ごさなければならない。考えてみると、奨学生として、中国語を学ぶことのできる自分の今置かれた環境は、なんて恵まれているのだろうか。

 

9月に授業が始まった当初は、中国語で中国語を教わるというそれまで経験したことのなかった環境に怯え、緊張しながら授業を受けていた。実際、リスニング能力もスピーキング能力も十分ではなく、宿題を聞き逃したり、わからない単語は英語で言ってしまったりと授業についていくだけでやっとだった。しかし、2週間、3週間と経過して行くうちに、「だんだんと言ってることがわかるようになってきた」というふうに感じることが増えてきて、久しぶりに眺めた単語帳も「わかる単語が増えてる」というように、成長を実感する機会が増えてきた。

成長を実感すること、できなかったことができるようになることは僕にとって何よりも大きい喜びだ。そして、中国人と不自由なく会話できるようになるという目標に向かって少しずつでも成長していると感じると、学習も楽しいものになってきて、今日までコツコツと中国語の学習を続けることができた。継続の力は偉大だ。

約二ヶ月ほどあった冬休み期間中は、学習のモチベーションをずっと高く保ち続けることはどうしても難しく、怠けてしまう日もあった。それでも、冬休みにずっと中国ドラマを見続けていた成果か、久しぶりに受けた授業では自分の成長を感じることができた。

 

そんなわけで、現在の新学期にむけた学習のモチベーションは十分だ。後期も終わってみればきっとあっという間だろう。置かれた環境に感謝しながら、前期よりもさらに一生懸命に中国語学習に取り組みたい。

 

(写真2) 冬休みに入ってから、中国の歌のギター弾き語りの練習を始めた。この曲は田馥甄の『小幸运』