「コロナ時代の留学のありかた」染谷圭秀(北京第二外国語学院)

今年もあと数日で終わろうとしている。振り返れば2020年は年初から未知の新型ウイルスが猛威をふるい、私達の生活も大きな制約を受けることとなった。そのせいか、今年は例年以上に1年があっという間に感じた。

約1年前に奨学生としての内定をいただき、しばらくの間、中国での生活を想像しては胸を躍らす日々を過ごしていた。しかし、新型コロナウイルスは私達の想像を遥かに超えて手強く、年内に中国に行くことは叶わなかった。そんなわけで、僕は9月からオンライン留学という形で中国語を学ぶことになった。“オンライン”と“留学”、“オンライン留学”、なんだか響きも意味合いも少々不自然な言葉のように感じるが、海外との往来が極めて困難になってしまったコロナ時代を象徴する留学のあり方だ。

最初こそ、オンラインでの授業に戸惑いがあったものの、今では現在時点において最善の環境だと思っている。先生方は慣れない環境のなかでも熱心に中国語を教えてくれ、クラスの雰囲気も良い。ただ、北京と時差が5時間ある、モスクワ在住のクラスメートはかわいそうだ。いつも朝5時から眠そうな顔をして授業を受けているし、試験も朝5時から受けていた。日本は幸いにも、中国と時差が1時間しかないので問題ない。

北京第二外国語学院では、12月の半ばに期末試験があり、それから冬休みに入った。テスト前最後の授業では、パソコンのWeb会議アプリ上でクラスの集合写真をスクリーンショットした。みんなが画面を向いてパソコンで集合写真を撮るというのは経験したことがなく、少し奇妙な光景だなと思った。

試験が終わり、冬休みに入ってしばらくしたあと、大学院生が先生となって補習が開講されたので参加することにしたのだが、授業の予定表を見てみると、12月31日にも、1月1日にも当然のように授業があった。(12月25日のクリスマスは平日で唯一授業がなかったにも関わらず!)中国では年が変わる前後の12月31日と1月1日をそこまで重視しないというのは耳にしたことがあったが、おそらく本当なのだろう。

2020年がもう少しで終わろうとしている現在にあっても、コロナウイルスは休むことなく、感染者を増やし続けている。先行きの見えない不安な社会、世界情勢であるが、僕は日々、淡々と中国語の勉強に励んでいきたいと思う。

(写真1)塞翁失马(人間万事塞翁が馬)という言葉を先生が授業中に紹介していた。この言葉を忘れないようにしたい。