「中国留学 ~前期を終えて~」 石井 野々香(南京大学)

 中国留学の前期を終えて感じたのは、継続は力なりということです。

 

 中国に来たばかりの頃は、そもそも日本の外に出ること自体が初めてだったため、新しい環境に対してワクワクするよりも不安に思う気持ちの方が大きかったです。当然、日本語以外の言語しか周りにない環境に身を置くことも初めてだったので、耳が日本語以外の言語に慣れておらず、中国語はもちろん、留学生同士のもう一つの共通言語である英語すらも上手く聞き取れないことが多々ありました。また、聞き取れても、話すことに慣れておらず、会話のテンポ感を乱してしまうことや、自分の伝えたいことを表現するのにも苦労する日々でした。

 

 前期の時間割は、毎日午前に2コマほど中国語の授業があり、週に1コマ、午後の選択授業を入れていたのですが、特に、留学を開始してからの約1カ月間は、午前の授業を聞いて授業内課題をこなしていくだけで精一杯で、午前の授業が終わるころにはへとへとになっていました。しかし、授業も2か月、3カ月と過ぎていくごとに午前中の授業だけで疲れることもなくなっていき、休憩時間や授業後の昼休みに友人たちと談笑することに時間を費やすことも増えていきました。

 

前期の時間割。毎日朝8時から授業があったので朝が辛かったです。

 

 私は授業の課題や予習復習以外に独自で中国語を勉強することはあまりありませんでした。しばらくして、後期が始まるタイミングで、カードキーの更新や新学期の準備のために寮のスタッフさんや係の人と少し会話をする機会があったのですが、前期の時とは異なり、指示をちゃんと聞き取って、自然な会話のリズムで応えることができました。その時に、ふと、中国語に対する慣れを実感しました。毎日、中国語で開講される授業を受け、ご飯を食べに食堂へ行って中国語を使って注文し、夜に散歩をして環境音として中国語を聞く、という生活をしばらく続けることで、知らず知らずのうちに中国語に対する抵抗感が薄れていき、慣れていくことができたように思います。

 

 また、中国でたくさんの人と授業や生活を共にして、細かな文化の違いを知ることができました。

 

中国人との交流を通じて驚いたのは、ちょっと一緒に遊びに行くだけでも、もてなす側であればプレゼントを用意することです。日本では、友人とご飯に行くなど、ちょっと遊ぶくらいであればプレゼントを贈ることはほとんどないと思います。そのため、幾度かこのような場面に遭遇し、戸惑ってしまうことがありました。

 

中国人学生さんたちと遊びに行ったときにもらったプレゼント

 

 また、他の国のクラスメイトと一緒にご飯を食べに行く機会も多々あったのですが、そこでも文化の違いを感じる場面がありました。日本人同士で遊びに行ったり、ご飯に行ったりするときは、あらかじめ行くメンバーが決まっていたり、人数が増える時でも一緒に遊びに行く人たちも知っている人を呼び、突然初対面の人同士が集まるということはあまりありません。また人数についても、2人から4、5人くらいの比較的少人数で行動することが多い印象です。しかし、他の国の人たちに誘われてついていくと、初めに集まったメンバーが、他のメンバーとも知り合いかそうでないかに関わらずそれぞれの友人を誘うため、メンバー内で初めて会う人も多く、人数も10人ほどと大人数になることもよくありました。

 

 このような文化の違いにはあまり慣れませんが、そのおかげで他のクラスの人とも知り合うことができたので、何事もチャレンジしてみるのがいいと思った一件でもあります。

 

 日本にいる時は、他の文化の人が大多数という環境に身を置くことも少なく、密に関わるということも少ないので、留学先の文化に触れるだけでなく、他の文化の中で過ごしてきた人たちと関わるという機会を得られたのも、留学に来たからこその産物のように思います。

 

食堂でよく食べるもの。白菜と小さいお揚げの煮物がおいしいです。