コロナ禍での様々な規制が撤廃されてゆき、世界の人々が再び各地を旅行に訪れている。中国でもそれは同じで、先月の国慶節に済南から蘭州へ至る旅をした際は、各地で非常に多くの旅行客の姿が見られた。若い学生旅行者の多くは、歴史的なスポットでは漢服を着て観光を楽しんでおり、このような旅行スタイルは中国で流行っているように思えた。そして今月初めの週末、曲阜からも気軽に行ける泰山へ朝日を見るために登山に行ったが、その際も非常に多くの登山客の姿が見られ、特に若い登山客が目立っていた。今回のレポートでは、中国各地を旅行して感じられた若者の旅行スタイルについて紹介したいと思う。
まずは国慶節での旅行で感じられたことについて述べたい。私は10月1日から7日にかけて済南・西安・蘭州を旅した。先述したように、どの街にも漢服を着た若い旅行者が非常に多く見られ、あまりの多さに漢服着用の流行りを感じざるを得なかった。
後に学校の授業で先生に聞いたところ、やはり漢服を着用しての観光スタイルは中国でとても流行っているらしい。実際、最近の中国の流行りの曲も「古風」と呼ばれる、伝統的な音色を感じられる曲が多く、伝統文化を大切にする風潮がこの国の若い層に広まっている様に思える。「古風」の音楽は私も好きで聴いている曲が多く、叶里の谪仙や要不要买菜の下山はとても聴き心地が良いのでぜひ聴いてほしい。
最後に、山東省が誇る屈指の名所である泰山を紹介して、このレポートを締めたいと思う。泰山は古来より歴代皇帝が天と地に即位を伝えて天下の安寧を願う儀式である封禅の義式が行われてきた場所であり、中国の歴史においてとても重要視されてきた。道教の聖地である五つの山「五岳」の一つであり、その五岳のなかでも特に神聖な山とされ、「五岳独尊」とも称される。そんな泰山は、現在でも観光地として非常に多くの人が訪れ、私が訪れた11月9日金曜日の夜も、授業終わりと思われる多くの若い登山客の姿が見られ、やはりこのような歴史的名所は中国の若い旅行者にとても人気なようである。
登山者のなかにはスピーカーをぶら下げて大音量で音楽を流しながら登っている人も多く、日本ではなかなか見かけられない中国ならではの登山スタイルが見られた。今回の登山では雲が多く、残念ながら朝日を眺めることはできなかったが、それでも山頂からは美しい朝焼けをみることができ、標高1545メートルをあるいて踏破した甲斐があったと感じられた。また機会があれば是非朝日を見に再訪したい。