「中国語の勉強方法」若林 郁未(華東師範大学)

私が初めて中国語に触れたのは2022年2月でした。現在、学習を始めて3年が経過したため、初学者の頃から今に至るまでの習得ステップと学習方法について整理し、共有させていただきます。

学習し始めた頃

中国語を学び始めたきっかけは、仕事で中国のプロジェクトに関わったこと、そして中国の歴史ドラマにハマったことでした。漠然と「原語でコミュニケーションが取れたり、ドラマを理解できたらもっと面白いだろうな」という気持ちで、軽い気持ちで始めたのを覚えています。

それまで中国語に触れたことがなかったため、「拼音」の存在もこの時初めて知りました。発音は複雑に感じた一方で、単語には日本語と共通するものが多く、読んでみると意味がわかるものが意外と多いことに驚きました。まずは基本的な文法構造と簡単な文章の練習から始めました。

ただし、明確な目標や実力を測る指標がない中での勉強は、手応えが感じられず継続が難しく、勉強したりしなかったり、仕事が忙しくなると全く手をつけない時期もありました。

本格的に勉強を始めた頃

2022年12月、中国政府奨学金の存在を知り、翌年の出願を決意しました。「留学をするなら、本当に使える中国語を身につけなければ」と考え、またHSKもできるだけ高い級を取得しようと決めて、本格的に学習に取り組むようになりました。

まずはHSK対策です。2023年5月に4級、7月に5級、10月に6級を受験し、12月の奨学金出願までにHSKを一通り終えることを目標にしました。HSK5級の合格にはおよそ700時間の勉強が必要という情報を目にし、まずは「1日最低2.5時間勉強する」と自分に課しました。

特にリスニングに関しては、音として聞いた中国語を理解できるようになるには、頭で理解するのとは別の積み重ねが必要だと感じ、毎日1時間ほど听写を行うようにしました。その結果、5級は予定通り合格し、6級は10月には不合格でしたが、2024年1月に再挑戦して合格することができました。

留学が決まってから出発するまで
2024年1月に奨学金合格の通知を受けた後は、留学に向けて会話の練習を始めました。この時、「HSKの点数を取ること」と「中国人の話す中国語を理解したり、自分の言いたいことを伝えたりすること」は、まったく異なるスキルであることを感じました。コミュニケーションという面では0からのスタートのような感覚でした。会話の基本はまず「相手の話を聞くこと」だと思い、教材の中の綺麗な発音だけでなく、日常会話の中国語がどのように話されているのかを知るため、ドラマや小红书などを毎日見るようにしました。

信じられないほど聞き取れないこともあり、落ち込む瞬間もありましたが、面白いドラマを見つけたりしながら、楽しみを見出して継続できる工夫を重ねていきました。時にはドラマのシーンを使って听写したりと、毎日1〜1.5時間程度の学習を続けていました。

听写
赤文字が聞き取れなかった部分なので
大部分聞き取れてませんでした

留学してから今まで

実際に上海で生活を始めた時、本当に「自分の中国語はまだまだ使い物にならない」と痛感しました。日常のあらゆる場面で言いたいことが口から出てこず、それまでの勉強時間が無意味だったように感じることもありました。

思い返すと、それまではインプット中心の勉強しかしておらず、「話す」練習、アウトプットがほとんどなかったことにようやく気がつきました。やったことがないことは、当然できないので、できないのは当たり前なのだと納得しました。

そこからは、話す練習に取り組むようになりました。とはいえ、自分の拙い中国語の練習に人を巻き込むのは申し訳ない気持ちもあり、AIとの会話で学べるアプリを見つけ、それを現在も継続して使っています。

また、ドラマや映画の中で気に入ったフレーズをメモし、繰り返し口に出して練習するようにしています。まだまだ自分が納得できるレベルには達していませんが、学部の授業はだいぶ理解ができるようになり、同じ学部の中国人の友人から「だいぶ話せるようになったね!」と言ってもらえるようになり、トラブルがあったときも、拙くても自分の言いたいことが伝えられる程度にはなってきたと感じています。

ドラマフレーズを書き溜めてるノート
口語表現は教材などでは見られないような表現も多いので
常に見るようにしています。

まとめ

約3年間の中国語学習を振り返って後悔しているのは、最初から会話の練習をもっと積極的に取り入れておけばよかったという点です。学習の目的は人それぞれですが、私の場合は「コミュニケーションの手段として中国語を学んでいる」にもかかわらず、話さなければ話せるようにならないという基本を、現地に来るまで意識できていなかったのは悔やまれます。

今はAIなどを活用すれば、アウトプットの機会を作りやすい時代です。これからも話す機会をどんどん作りながら、さらに中国語の力を磨いていきたいと思います。