「3月レポート」石橋 肇子(北京師範大学)

留学生活も残り3ヶ月ほどとなり、終わりを意識して寂しさを感じることも増えてきました。限られた時間の中で、学びを最大限に深めながら充実した日々を送りたいです。

 

中国語の学習方法

今月のテーマである「中国語の学習方法」について、特筆するような独自の学習法があるわけでもないのですが、留学に来たばかりの頃に比べると、語学力は確実に向上したと実感しているので、私が最も意識している学習のポイントについて述べたいと思います。

それは、新たに出会った単語や表現を確実に習得することです。言語学習において私は一定の文法や発音といった基礎を身に着けてからは語彙力を伸ばすことが極めて重要だと考えています。授業や日常会話はもちろん、外出時やスマホを見ている際にも、知らない語彙や表現を見つけたら必ず調べ、記録することを習慣としています。その場で詳しく調べられない場合でも、検索履歴やメモに残し、後で確認できるようにしています。また、語彙だけではなく、ネイティブが自然に用いるコロケーションやフレーズも同様に覚えるようにしています。私たちは普段、語気や言葉選びなどを通じて個性を表現していますが、外国語でそれを再現するのは容易ではありません。そのため、私は自分が好きな話し方や言い回しをする人の表現を積極的に観察し、そのまま真似して使うなどしています。これを繰り返すことで、それらを自分のものにすることができます。また、このようなインプットとアウトプットのサイクルを継続することで、学習のリズムができ、定着が加速するように感じます。

 

中国の若者と消費の変化

普段、大学構内の瑞幸咖啡でコーヒーを買うことが多いのですが、瑞幸咖啡では9块9咖啡キャンペーンをしており、日本円にして200円ほどでコーヒーを買うことができます。また、中国で最も店舗数の多い奶茶店チェーンの蜜雪冰城は、4元からドリンクを購入できるその低価格が支持され、店内は常に混雑しています。安さで集客を狙うこのような戦略は中国の飲食業界で広く見られます。中国市場は特性として価格競争が激しいので、一概には言えませんが、昨今の中国経済のデフレとも関連があるのかもしれません。

1年間という限られた期間、特に留学生としてキャンパス内で安定した生活を送る中で、中国社会の変化を十分に体感することは難しいのですが、自発的に流行や変化に目を向け、その背景を考察するように意識しています。例えば、最近中国の大学生の間で流行している特种兵旅游(最小限の時間とお金で最大限の場所を回る旅行スタイル)も、若者の多忙な生活や打卡式旅游(観光地での写真撮影を重視する旅行スタイル)などから生まれた新たな流行と考えられますが、穷游(節約旅行)の一形態ですし、現在の中国社会の消費傾向や経済状況を反映しているとも考えられます。

また、現在の中国は日本の就職氷河期に非常に似ていると聞きますが、実際に現地学生と話をしていても、就職難をはじめとした、将来を悲観する声をよく聞きます。就職難でさらに激化する競争社会の中で、高学歴の若者がブルーカラーの仕事を選ぶなど、やりがいを優先した職業選択も増えているようです。かつての日本でもそのような風潮があったと聞きますし、社会の様々な流行やブームというのはその国の情勢や経済状況などと密接に関係しているのだと改めて感じます。

そもそも私は日本の就職氷河期について周囲の大人から聞いた話でしか知らないため、今の中国を見ると、同時にかつての日本に対する解像度も高まり、とても興味深いです。中国のダイナミックな変化、発展に惹かれてこの国に興味を持ち始めた私にとって、現在の中国経済の変遷を肌で感じられることは非常に貴重な経験です。

4月4日からの清明节の三連休で私は景徳鎮へ旅行に行く予定です。往復26時間の火车硬座での移動で、木曜日の授業後に出発し月曜日の授業前に帰ってくる旅程です。まさに「特种兵旅游」です。移動はかなり疲れそうですが、陶磁器の名産地を堪能してきたいと思います!

中国でよ見かける標識、クラクション禁止という意味です。

 

 

瑞幸咖啡の9块9咖啡キャンペーン、ちなみに一番下の橙C美式は中国でよく見かけるオレンジアメリカーノというドリンクです。私は好きなのですが、好みが分かれるメニューです。