「故事成語から学ぶ中国」石井杏奈(蘭州大学)

私は漢字が好きなので、最近は中国語の勉強以外に漢字検定準1級の勉強をしています。

漢字検定の問題集に出てくる故事成語をいくつか紹介したいと思います。

使用している漢検準1級の問題集

漢検準1級の試験問題集

漢検四字熟語辞典

1.『胡蝶の夢の百年』

~胡蝶之夢~

意味:万物一体観に立つ人の心境・境地。また、人生のはかないことのたとえ。荘子(荘周)が夢の中で胡蝶となり彼と我との区別を忘れ楽しんだ故事。

故事:中国戦国時代、荘周が蝶になった夢を見たが、夢から覚めてみると、自分が夢で蝶になったのか、蝶が夢見て今の自分になったのか区別がつかなくなったという故事から。

出典:『荘子』<斉物論>

自分が蝶になったのか、蝶が自分になったのかを考える視点がおもしろいと思いました。

 

2.『洛陽の紙価を高める』

意味:著書の評判が高く、飛ぶように売れること。

解説:晋の左思が『三都賦』を作った時、洛陽(中国の都市)では評価が高く、人々が争ってこれを書き写したために紙の需要が増した。

このため洛陽では紙の値段が高くなり、「洛陽為之紙貴」と書かれたという故事から。

出典:『晋書』文苑伝・左思

問題集では、『洛陽のシカを高める』のシカの部分が問題として出てきました。最初見た時は、どの漢字を使うのかわかりませんでしたが、解説を読み、その言葉が生まれた背景を知ることで理解をすることができました。

 

3.『渇しても盗泉の水を飲まず』

意味:どんなに苦しいときであっても、決して不正なことは行わないことのたとえ。

解説:孔子が山東省を旅行しているときに、泗水にある盗泉という名の泉のそばを通りかかった。孔子はからからに喉が渇いていたが、「盗泉」という泉の名を嫌い、「名前だけでも身が汚れる」と言ってその水を飲まなかったという。その故事を晋の陸機が詠んだ詩「渇しても盗泉の水を飲まず、熱しても悪木の陰に息わず(喉が渇いても、盗泉という名のついた泉の水は飲まず、熱くても、悪木と呼ばれる木の陰では休まない)」に由来する。

自分が困難な状況に陥った時に、自分の中の正義や正しいと思う考えを曲げない強さを持つことは大切なことだと思うので、現代にも通じる教訓だと思いました。

 

故事成語を勉強することで普段と違う視点から中国の歴史や言葉を知ることができます。故事成語の中には、現代にも通じる考えの故事成語がたくさんあるので知識として学ぶと楽しく学べると思います。

 

目標

年始に期末試験があるので、引き続き苦手対策と復習をして試験に備えたいと思います。

 

中国古典を学べる本

<参考・引用文献>

・公益財団法人日本漢字能力検定協会,漢検四字熟語辞典,公益財団法人日本漢字能力検定協会,2021年.574p.

・故事ことわざ辞典, https://kotowaza-dictionary.jp/k0041/,(2022年12月24日)閲覧

・コトバンク, https://kotowaza-dictionary.jp/k0481/,(2022年12月24日)閲覧