「授業で行った“国潮”研究レポートについて」志甫明音(北京外国語大学)

前期の後半の授業で、中国の文化や経済など自分の関心のあることを取り上げて研究レポートを書くという課題がありました。以前のレポートで、この数年若者の間で漢服ブームが起きているということを書きましたが、その背景に中国での“国潮”ブームがあるということを知りました。そのため、私は研究のテーマを“国潮”にしました。

“国潮”という言葉は多くの中国人が知っているのですが、定義が定まっているわけではありません。ただ、今回日本に来ている中国人留学生2名にインタビューをしたところ、2人が考える定義は一致しており、「中国の伝統文化と現代を融合させたもの」とのことでした。

2018年は「国潮元年」と呼ばれ、近年中国では国潮ブームが起こっています。調べてみると、国潮ブームには3つの背景があるようです。1つ目は、中国の製造能力の向上です。80年代以降、中国は「世界の工場」として海外企業の製品を製造していました。しかし、現在では中国企業も技術や質や価格において海外企業に劣らない製品を作ることができるようになりました。そのため、自国の製品を選ぶ中国人が増加したと考えられます。2つ目は、中国人の消費能力が上がったことです。経済の成長に伴って人々の収入が増加し、“国潮”製品を買うことができる人が増えたのです。3つ目は、人々が自国文化に対してさらに自信をもつようになったことです。中国経済の発展に伴い、中国の国際的地位も上昇しました。国際的地位の上昇が、国民のアイデンティティーにも影響を与え、中国人は自国の文化に対して自信を持つようになったのです。

今では様々な“国潮”ブランドがあり、そのなかでもスポーツウェアブランドの「李宁」やコスメブランドの「花西子」などが有名です。私も伝統を取り入れたデザインの美しさに惹かれて、中国の“国潮”コスメを買ったことがあります。

花西子のコスメ

実は研究レポートを書き始めたときは1200字くらいでいいかなと思っていたのですが、いざ書いてみると3500字ほどになっていました。これまで中国語でそんなに長い文章を書いたことがなかったので結構大変でした。しかし、中国語の論文を読んだり、中国人の友人にインタビューをしたりと、いい経験になったと思います。