「前期を終えて」柿沼澪菜マリア(復旦大学)

あっという間に10ヶ月間の留学の半分が終わってしまいました。人生の中で最も濃く、早く過ぎていった5ヶ月間と言っても過言ではないと思います。

留学開始前は、2年間ビザの発給が停止されていた中国への今年度の渡航は諦めていました。せっかく頂いた留学のチャンスをオンラインで終わらせる気はなかったので、半年あるいは1年延期しようと考えていました。そんな時にビザ再開のニュースが入り、夢を見ているような気分だったことを今でも鮮明に覚えています。しかし、厳しいコロナ政策の行われている中国への渡航は簡単なものではありませんでした。

空港に着陸し飛行機から降りるなり大白たち(防護服を着た係員たち)に連れられ検査なり手続きなりをしなければならなかったのですが、大白たちの話す上海訛りで早口な中国語が全く聞き取れず、留学開始早々心が折れそうでした。10日間のホテル隔離中も大白たちの話す中国語の聞き取りに苦戦し、WeChatを交換し文章で送ってもらったこともありました。もちろん全てを覚悟した上で留学を開始しましたが、身の回りの全てが外国語という環境で誰の助けも借りることができず、人に会うこともできず、ひたすら全てを1人で処理していくしかない10日間の隔離生活は想像以上に大変で、孤独感に押し潰されそうでした。

隔離終了後は友人たちの助けを借り少しずつ中国での生活に慣れていくことができました。留学生活の醍醐味の一つは人との出会いだと思います。日本での生活では絶対に出会うことのできなかった、世界中から集まった人々と出会い、様々な価値観に触れることができています。また、日本の大学では学生の大部分が実家暮らしや一人暮らしであるのに対し中国の大学では学生の大部分がキャンパス内の寮に住んでいるため、衣食住を共にしている分仲良くなるスピードも格段に違います。私は中国に来てたったの3ヶ月ですが、一生付き合っていくであろう友人が既に数人できました。他の学生と接する機会が多いため毎日のように新しい人と知り合い、充実した日々を送ることができています。

肝心の中国語はというと、正直に言ってしまうとスピーキングはまだあまり自信がありません。ただ、リスニング能力はかなり向上したと思っています。留学開始当初は、聞き取りやすい綺麗な発音で話してくださる先生の言っていることも50%ほどしか理解できず、全て知っている単語で構成されている文章ですら聞き取ることができませんでした。しかし今は、上海人の上海訛りの中国語であっても知っている単語はほぼ聞き取ることができていると感じます。後期はより多くの単語をカバーし、語彙力を強化することに力を入れていきたいと思います。