「中国で流行っていること(もの、人等)、自身の関心のあること」納田 梨央 (中央戏剧学院)

オンライン留学では現地のトレンドを把握するのに限界があるので、今回は私が中国留学を目指したきっかけでもあり、かねてから関心を持っている中国伝統戯曲について少し紹介したいと思います。

中国の伝統演劇のことを戯曲と呼びます。使われる言葉や特徴は地域によってさまざまで、細かく分類すると300種類近くに及ぶと言われています。その中で最も知名度のある劇種が北京周辺で発展した京劇です。京劇という言葉なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。戯曲の最大の魅力は各地域のカラーが演劇の形態に色濃く反映されているところです。例えば同じ演目でも北京の京劇、蘇州の昆曲、陝西の秦腔、浙江上海の越劇など地域によって方言や曲調、伴奏楽器が大きく異なります。現地に渡航できていれば、休暇を利用して中国各地を旅行し可能な限りの劇種を観劇しに行こうと考えていました。オンライン留学になったことで残念ながら観劇旅は叶いませんでしたが、日本で活躍している在日京劇団新潮劇院のもとで京劇を教わる機会を頂き、実際に公演の出演と裏方も経験することができました。二年前には鴻巣市日中友好協会主催の京劇公演もあり、日中友好協会を通して中国の伝統文化を紹介する機会が今後もあれば良いなと思っています。新潮劇院では様々な体験イベントや公演が年間を通して開催されているので、日本にいながら中国伝統文化に触れることができます。また、CCTVには戯曲専門チャンネルがあり、公式YouTubeにはたくさんの演目が日々投稿されているので様々な劇種の演目を観ることができます。

去年8月の日本京劇芸術祭にて。(写真)新潮劇院/一般財団法人 日本京劇振興協会

日本の歌舞伎同様、中国でも戯曲を観る人は限られているので、留学先の先生や知り合った中国人に中国伝統戯曲が好きだと言うと大抵は驚かれます。そしてそこから私に興味を持ってもらい色々なお話ができることが多いので中国戯曲ファンになって良かったと常々感じます。そして私のこの拙文を通して京劇や戯曲に少しでも興味を持って頂けたらとても嬉しいです。

CCTV戏曲のYouTubeチャンネル