「中国の大規模ロックダウンを受けて」有馬 万達 (南京大学)

後期の授業が始まってからまる二ヶ月経ち、もうすっかり今の環境に慣れてきました。今ちょうどはやくも中間テストの時期で、もう留学も後半に差し掛かっているなと感じます。今現在中国では、特に上海では厳格な大規模ロックダウンが続いています。市民の普段の生活すらままならなく、上海では仕事や学校に行くどころではなく、外に出られない、生活必需品や食料すら満足に行き届いていない状況です。少し前まではパンデックの封じ込めに成功している国の筆頭であった中国がこのような状況になるとは思いませんでした。中国のゼロコロナ政策は、中国のトップダウン式政治体制の合理性を証明するとともに、その危うさもはらんでいる「双刃剑」と言えるのではないでしょうか。

今回は「日本と中国、似ているところ、異なっているところ」というテーマですが、やはりコロナウイルスに対する対応は大きく異なっていると思います。中国のゼロコロナ政策に対して、日本は欧州やアメリカに追随する形でウィズコロナ路線に切り替えているところであります。しかし、個人の選択の自由や自由な市民生活を強く求める欧州やアメリカとはまた異り、日本は保守的でマスクの着用に関しても国民全体で議論になることは少ないように感じます。日本はそういった「全体のために(ある程度)個人が制限される」という意識があり、程度の差は違うのかもしれませんが、東アジア諸国では共通して持っているものではないのでしょうか。そして、最近特に強く感じる共通点は、現在のコロナウイルス政策はウイルスそのものではなく別のものとの戦いになっているということです。これは日本と中国だけでなく、世界共通していることであると思いますが、いかに国民が納得するか、いかに体裁や面子を守るか、といった部分によって政策が決定されているように感じます。未だにこれといった正解がないパンデミックに対して、どの政策が良かったのかジャッジできるのはまだまだ先になると思いますが、私たちはそういった政府の動向も考慮しながらできることを探し続けることが必要なのだと思います。