留学を終えて 雲南大学 後藤真由子

期間としてはとても短かったですが、この先何度も思い出す一年になったと思います。いろいろな人と出会い、楽しさも苦しさも多く、沢山のことを経験した濃い一年です。
二年生の後期が始まったころ、留学に行くかどうか悩んでいました。それはというと、留学前はよさこいサークルに所属し、その活動を一生懸命やっていました。このまま皆と卒業まで続けていきたいという気持ちが強かったからです。大学に入学し中国について学び始めてからは中国に興味が湧いて、在学中に留学しようと決めていました。それなのに大学生活は忙しく、気づけば二年生が終わろうとしていました。三年生が留学に行く最後のチャンスだと思い、後悔はしたくないので、悩んだ末思い切って留学を決心しました。
留学に行ってからの数日間は何も分からず、この先一年もここで暮らせるのだろうかと考えるととても辛かったです。しかし、優しく親切なルームメイトや周りの人に助けられ、すぐに充実した日々を送ることができるようになりました。この生活の中で最も苦戦したのは日常の中の会話でした。バングラデシュ人のルームメイトとの会話は基本的には中国語、伝わらないときは英語を使って何とか頑張りました。スムーズに話せなくても、伝える意志さえあれば相手もしっかり理解しようと聞いてくれるので諦めずに話すことが大切だと学びました。留学生同士では、ほとんどが英語で会話していて、日本にいると英語が話せなくても困ることはなかったけど、改めて英語が世界の共通語だと感じ、もっと勉強しなければと思いました。雲南大学では日本人留学生が数人しかおらず、日本語を話す機会が少なかったです。自分の言語を話せないのが私にはかなりストレスになっていました。そんな時は、日本語が話せるメンバーで遊びに行ったり、日本にいる友人に電話を掛けたりと適度に息抜きをしていました。こういう時間を設けることで、頑張ることが出来ました。

不安でどうしようもなかった初日から優しくしてくれた2人。感謝でいっぱいです。

 

大好きだった火鍋と米线。昆明の料理がとても恋しいです。

留学に行く前に、自分で決めていたことがありました。私は外交的な性格とはいえません。しかし、せっかく留学するならと、「この一年は積極的に動こう」と目標を決めて行きました。日中交流ができるイベントに参加したり、中国人や留学生と積極的に関わったりしたことで沢山の友人をつくることが出来ました。同年代の中国人と関わる中で、彼らは日本のドラマやアニメ、服装などにとても詳しくて、日本にとても興味を持ってくれているのだと気付き、とてもうれしく感じました。その一方で、私は中国の歴史や政治など授業で習った事しか知らず、今の中国について何も知らないことに気付き恥ずかしくなりました。友人に「中国の好きな芸能人は誰?」ときかれたときも答えられず、申し訳なく思いました。これがきっかけで、もっと中国について知ろうと思い、流行りの歌を聞いてみたり、映画を見に行ったりし始めました。映画も歌もすごく良くて、どうしてもっと早くから興味を持たなかったのだろうと後悔しました。

記念に映画の半券を残しています。何枚かは失くしてしまいましたが…。

最後に、留学を通して精神的に少し成長できたと思います。留学先に知り合いは一人もいません、自分から動かないと誰も助けてはくれないし、人脈も広がりません。困難に出会う度に自分で何とか乗り越えてきたので前よりも自信がつきました。「積極的に行動する」という目標を立て、実行したことで多くの人に出会い、留学生活を充実させられました。何でもいいので、何か目的・目標を持って留学に行くことが時間を無駄にしない方法の一つだと思いました。また、日本を離れて暮らしたことで、改めて日本の良さ、家族や友人のありがたみを感じました。逆に日本の足りていないところや自分の未熟さも知りました。本当に貴重な経験が出来たと思います。留学は決して楽しいことばかりではなかったけど、今思うのは、あの時行くという決心をして良かったということです。そして、この決心を快く受け入れてくれた家族、相談に乗ってくれた先生や友人、留学の機会をくださった日中友好協会、そして留学先で出会った方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。今後もこの経験を忘れず、日本でも目標を立てて進んでいこうと思います。次会ったときに皆を驚かせられるよう、中国語の勉強も引き続き頑張ります。

中国人の友人からの贈り物。今でも落ち込んだ時などに手紙を読み返して元気をもらっています。大切な宝物です。