留学での心構え 北京大学 中津大介

コロナウイルス蔓延の影響から留学中止を余儀なくされた私は、先月まで「留学前に知っておくべき金銭、学習、人間関係」について書かせていただいた。今月は留学での心構えについてみなさんにお伝えしようと思う。
私が皆さんに一番伝えたいのは、特に留学においては「明日はないと考えろ」ということである。
このメッセージは私が今年一月、前期が終了する頃に胸に刻んだものであるが、皮肉にも新型コロナウイルスによる影響でより、皆さんに響くものになっているのではないだろうか。
この状況になる前、前期を終えた私は「来学期はこうしよう」といった事をかなり考えていた。来学期は当然迎えられるものだと思っていた。しかしこの現状である。
留学に行くことができたとして、次このような事態にならないという保証はどこにもない。ましてや現在中国は、アメリカ、香港や台湾だけでなく東南アジア諸国とも緊迫した状態であり、ウイルス以外にも留学を断念せざるをえない状況の要因となるものは多い。
私は皆さんを怖がらせたくてこのような文章を書いているのではない。「次はああしよう、こうしよう」という考え自体に気をつけていただきたい。留学生活は、政治的、医療的な災害レベルの事象でなくとも、予想だにしない出来事の連続である。思いもしない場所で思いもしない人・モノ・コトに出会うことばかりである。そういった決断を迫られるタイミングでは、ぜひ「明日はない」と考えてみてほしい。もちろん、疲れている時、金銭的に苦しい時もある。そういう時は無理しすぎず休んでも良い。しかし、そういった懸念点がなければ遠慮せず決断してみてほしい。
やらなかった後悔ほど悔やまれるというのはよく知られているが、留学であればなおさらである。それを意識していてもやり残したと感じてしまうことはあるだろう。その時は切り替えて、なるべく早くやってしまう、もしくは次に同じような状況が来たら思い切って決断する覚悟を決める。
これだけ偉そうに書いている私も西安にて、考えてから後で買おうとしたものの時間がなく買えずじまいになってしまったお土産のことをふと思い出す。
皆さんには、ぜひこんな後悔のない留学生活を送っていただきたい。