各地の日中交流ニュース

2019年7月1日号 /

 

北京市トップの蔡奇書記が来日

2022冬季五輪の開催に向け、長野県の五輪使用施設を視察

 

阿部知事(右1)と白馬村のジャンプ台を視察する蔡書記(右3)

2022年に北京冬季五輪が開かれる北京市のトップ、蔡奇・党書記(党政治局員)が6月8日に長野県の長野市と白馬村を訪れ、長野冬季五輪の関連施設を視察した。また阿部守一知事との会談では、長野五輪の経験と施設の後利用、8月の北京市訪問について熱心に意見を交わした。蔡書記はこれに先立つ7日、五輪開催を控える東京都を訪問し関係者と交流、その後長野県を訪れ、長野市のMウェーブ、白馬村のオリンピックジャンプ台を視察した。

白馬村で蔡書記は、競技場の後利用の状況や施設管理で苦労する点などを質問。同行した阿部知事は、ジャンプ・複合競技のワールドカップを共同して東アジアで開催できれば、素晴らしいと提案すると、蔡書記も開催地になるために努力しましょうと応じた。
長野市内で行われた会談で阿部知事は「青少年スポーツ交流は未来に向けて顔の見える人間関係をつくること。一昨年の北京訪問の際に北京市長と覚書を交わし、スキージュニア選手の受け入れなどが行われてきた。長野県は、中国を相手国とする東京五輪パラリンピックのホストタウンとなって中国選手を応援することとなっており、県日中友好協会やスキー連盟などと一緒に友好交流に努めてきた。長い間スキー交流を通じて培ってきた信頼関係をバックに、北京冬季五輪の開かれる北京市、河北省との友好交流をさらに発展させていきたいのでご支援をお願いしたい」と述べ、8月に訪中することも紹介し、その訪問を通じて、友好交流をさらに発展させること、長野県内から中国への農産物禁輸措置の解除や、県内への教育旅行・観光地への誘客などを目的としているのでご支援願いたいと述べた。

蔡書記は「長野県訪問はハードスケジュールだったが疲れるだけの価値があった。長野は、私たちにとって施設の後利用でも手本のような存在。北京がこれから何を目指せばいいのか参考になった。冬季五輪開催という共通点を持っている両地はスポーツを通じて友好を深めていきたい。中国のジャンプ訓練隊や教育旅行の受け入れなど感謝したい」と話した。蔡書記はまた、「長野駅到着の際、長年友好に努めてきた日中友好協会の役員会員の皆さんが大勢であたたかく歓迎してくれたことに感動した」と述べ、関係者に感謝した。会見に同席した高波謙二・県日中会長は県協会60周年記念誌などを蔡書記に贈呈した。

19年度理事会・定期総会を開催
中国での農業指導の体験発表も

・秋田県日中友好協会

総会であいさつする堀井会長

秋田県日中友好協会(堀井啓一会長)は5月11日、秋田市のアキタパークホテルで2019年度理事会・定期総会を開催した。畠山智・秋田県企画振興部国際課長ら来賓を含む25人が出席した。
総会に先立って行われた理事会では、要望のあった「令和2年度北海道・東北ブロック会議を秋田で開催」が議題に挙がり、佐藤惣良理事(事務局長)がこれまでの経緯について話して審議がなされ、本県での初めての開催を引き受けることにした。

また、秋田県指導農業士の資格を持つ高橋博理事が、2度にわたる中国での農業技術指導の体験発表をし、出席者は熱心に聞き入った。総会では堀井会長(県副知事)があいさつの冒頭、程永華駐日中国大使の離任についてふれ「9年を超える在任期間には大変困難な時期もあったので苦労されたと思うが、日中外交に尽くされた業績は大きい」と語り、大使同様に知日派で、日中友好協会への理解が深かった夫人の汪婉参事官への賛辞も述べた。

議事では決算報告・事業計画・予算案などを承認。この後、畠山県国際課長から今年度の秋田県と中国との交流事業に関する説明があり、資料をもとにして甘粛省や吉林省・大連市との交流事業計画が詳細にされた。石黒かほる・県女性委員会委員長(全国女性委員会委員長)からは、交流活動にあたっての理解と協力に対して感謝の言葉が述べられ、全国女性委員会設立35周年にあたる今年度の記念事業などについて伝えられた。また、県内各地区協会の代表者がそれぞれ特色ある活動を報告し、共通した苦労話もあった。
総会後は懇親会が開かれ、食事をしながら終始和やかに歓談した。

(県日中理事 古谷孝男)

 

再建から3年目の定時総会
戸毛氏による日中関係講演も

・奈良県日中友好協会

日中関係について話す戸毛氏

奈良県日中友好協会は5月19日に奈良市中部公民館で定時総会を実施し、再建から3年目の活動に入った。辻祥子・県知事公室国際課長、曽琳・駐大阪総領事館政治文化交流室長をはじめ、多くの来賓、会員、県下日中友好団体や中国帰国者、学友会などの関係者が出席し盛大に開催された。

2019年度の活動方針として、①再建3年目を受け、成長の証を残せるよう諸事業に取り組む②会員への情報提供に努め、友好事業への参加充実を図る③会員増強、若年層の加入を促す事業を企画する④県内日中友好団体と連携を密にし、相互協力的に事業を行う、の基本活動方針の下、具体的な行事を提案していく。また近畿ブロック内各友好団体との連携も強化し、相互往来も拡大していく。総会の後半には、大阪府日中友好協会の戸毛敏美副会長が「切っても切れない日中関係」と題して講演。ユーモアと厳しい内容が交差する熱弁がふるわれ、参加者一同感激した。

 

第7回定時総会を開催
「今年も民の力で日中関係を良い方向に」

・(一社)神奈川県日中友好協会

あいさつする並木会長

(一社)神奈川県日中友好協会の第7回定時総会が5月30日、神奈川新聞社10階会議室で会員ら約100人が出席の下開催された。総会では平成30年度事業報告・決算と令和元年度事業計画・予算が承認されたほか、新役員が選任され、並木裕之会長とともに中村行宏副会長、上島保則副会長ら5人の副会長全員が再任された。

並木会長はあいさつで、「日中関係は良い方向に向かっているが、一方で米中間の貿易等々の対立が激しくなり、日本の立ち位置が難しくなるだろう」と今後の先行きに懸念を示しつつ、「今日の日中関係は各界の有識者の努力により築かれた。民間が先行して民が官を促した」という程永華前中国大使の言葉を紹介し、「協会の活動も正に同じ目的、地域協会の皆様と手を携えて、民の力により両国の関係を良い方向に導きたい。今年は日中青少年交流推進年で高校生の派遣などにも力を入れてまいりたい」と抱負を述べた。
総会終了後の懇親会は、中村副会長のあいさつと乾杯の音頭によりスタート。森正明県議会日中友好議員連盟会長、県会議員、市会議員らのあいさつが続き、盛り上がった会となった。また、総会には多くの県内選出国会議員、市町長から祝電が寄せられた。(事務局 三浦修)

 

2019年度の定期総会を開催
訪中団などの取り組みで会員拡大を!

・福岡市日中友好協会

2019年度定期総会の模様

福岡市日中友好協会は2019年度の定期総会を5月18日、福岡市東区の「福岡県教育会館」で開催した。総会には、中国駐福岡総領事館の康暁雷副総領事、宋璐領事、中野哲宏福岡市国際部アジア連携課長、森山沾一福岡県日中友好協会長らの来賓を含め、約20人が参加した。

池田良子理事の議長で会が始まり、冒頭、中村元氣会長は「中国建国70周年・広州市との友好都市40周年、これを記念しての訪中団などに中国総領事館やいろんな団体と連携しながら、会員を、特に若い層を拡大していきましょう。6年間務めた会長を落石俊則新会長にバトンタッチして、今後は事務局長として支えて行きたい」とあいさつした。
次いで、康副総領事は「永年にわたる福岡市日中友好協会のご尽力に感謝します。中日関係は正常な関係に戻り、建国70周年、広州市との交流40周年記念の訪中をぜひ実現してください。中村会長お疲れ様でした。落石新会長の下で益々発展されること期待しています」と述べた。また、中野課長は「福岡市日中の日頃の活躍に敬意を表し、御礼を申し上げます。福岡市も広州市との交流40周年の行事や30年を迎える中国を含めてのアジア文化賞などの取り組みを展開しています」と話した。

森山会長は「先の県日中の大会で故松本龍会長の後を受けて就任しました。福岡市日中をはじめ会員や顧問などの皆さんと力を合わせて頑張っていきたい」と語った。
その後、議事に入り、18年度の活動報告と決算報告、19年度の活動方針と予算案、そして役員選任を提案し、原案通り可決後、落石新会長が「新しい役員体制で今後も頑張っていきましょう」と述べた。次いで大賀和男新理事長と井上健新理事が就任あいさつをし、山口裕之副会長が閉会あいさつを述べ総会は終了した。(事務局長 中村元氣)

北京外語大客員教授 杉本氏が講演
中国の政治体制や歴史を解説

・岐阜県日中友好協会

講義を聞いて中国の政治体制や歴史に理解を深める参加者。岐阜市内の朝日大学病院ホールで

岐阜県日中友好協会主催の『ぎふ・中国くるぶ交流講座』は5月25日、岐阜市の朝日大病院ホールであり、杉本勝則氏(北京外国語大学北京日本学中心客員教授、アジア・ユーラシア総研客員研究員)の「この目で見た中国~その歴史と体制~」と題する講演に、80余人が耳を傾け、日本と比較しながら中国の政治体制や歴史、国民性や考え方などを学んだ。『聴く』『交わる』『学ぶ』をキーワードに、日中両国の相互理解のきっかけにしてもらおうと開催。市民にも無料公開、とりわけ本年度からは参加者同士の意見交流の場をつくった。

杉本氏は元参議院法制主幹で定年を機に対外経済貿易大学客座教授兼語学留学生として中国各地を見て歩き、現在、日中関係学会理事、中国留学生交流支援立志会副理事長として日中関係の研究、若者交流に携わる。
杉本氏は、異民族が入れ乱れ、王朝が変遷した3000年の歴史や共産党統治下の実像にも触れ、中国人の行動原理や死生観の日本人との違いを解説した。「中国は異質の国ではない。日本とは制度、体制の全く違う国であることをまず認識すべきだ。尖閣諸島問題は体制の違いに気づかないままの『相互誤解』の積み重ねが日中関係を悪くした例だ」とした上で、『相互理解』に向けて「人と人との交流を通して違いを知り、受け入れることから始めよう」と呼びかけた。米中貿易戦争にも触れ、「中国が途上国的発想から脱皮し、大国として柔軟に対応できるのか、また中国が現代国家に変われるかの試金石」と話した。

これに先立ち、岐阜県日中は2019年度定期総会を開き、前年度事業報告と決算報告、補欠監事(1人)選任に続き、「ぎふ・中国くるぶ」開催、岐阜市・杭州市友好都市提携40周年行事への参加など本年度事業計画と事業予算案が承認された。補欠監事選任は、高齢で勇退申し出があったため、後任に若山貴嗣氏(岐阜市議会議員)を選んだ。
(理事長 土屋康夫、写真も)

天津で「日中友好防災講演」
協会15周年事業で訪中団 防災技術の向上に一役

・西東京市日中友好協会

天津津南区消防中隊から説明を受ける

西東京市日中友好協会は協会設立15周年を迎え、記念事業の一環として5月21日から24日まで、渡辺康生、前田久男正副会長、長沢享理事(日中国際協力センター特任部長・高度防災専門家・JICA派遣、北京駐在5年)一行7人を天津市に派遣し、22日に天津市津南区ホテル内会議場で日中友好防災・消防講演、23日に市計画館、市博物館、大学等の視察を行った。
当協会には天津出身の会員もおり、この度、民間の世世代々、有意義な日中友好活動の要は高度人材交流にあるとの認識に基づき訪中団を派遣した。

講演には天津市外事弁公室の呼び掛けに応じた天津市応急局、市消防救援総隊、市赤十字会国際認証訓練機関幹部、指導員50人余りが集まり、消防・防災分野の指揮要領、地下鉄等の毒劇物災害対策、被害者搬送法など理論から実践まで4時間近く、休息時間も惜しんで熱心に講演に聞き入った。講演を知り北京から駆け付けた消防関係者もいた。
団は講演以外に市応急局集中管理センター、津南区消防救援中隊、市赤十字会訓練センターの視察も行い、非常に良好な友人関係を構築できた。

最終日の24日、市外事弁公室との訪中団総括会議では市の感謝の言葉とともに、日中両国民の安全と幸福のため、また両国友好の輪をさらに拡大するため、諸事業を展開するため双方努力することに同意した。具体的には防災交流の継続、留学生の相互派遣(天津南開大学は周恩来総理ゆかりの有名校)、アニメ企業交流、介護事業専門家交流、天津市博物館所蔵の国家級中国歴史文物の紹介等が挙げられた。
天津市には昨年7月、第3回東京都日中友好議員連盟訪中団が友好訪問、11月には天津市外事弁公室張鐸秘書長が東京都日中を表敬訪問し、相互交流の基礎ができはじめている。都日中は北京市との友好都市締結40周年を迎え、北京中心の交流が多いが、全国の日中で始まっている多極友好交流の一環とも言える。
会員に学術関係者が多く、東京都の重要地区協会の一つに挙げられる当協会は積極的に取り組む所存である。
(副会長 前田久男)