大好きな二胡を極め、日中の友好の架け橋に

2023年2月1日号 /

中央音楽学院民楽系二胡専攻・二胡奏者
本多ゆとりさん

2003年、横浜生まれ。 小学1年の時、二胡を習い始めた祖母の影響で二胡と出会い、美しい音色が大好きになる。
在日二胡奏者 田宇、中国で著名な二胡演奏家 刘长福、马向华、邓建栋に師事。
2019 年、中国北京にある中央音楽学院附属中等音楽学校二胡専門科に日本人として初めて入学。
2022年9月より中国音楽の最高峰の音楽大学である中央音楽学院民楽系二胡専攻に在学。

公式HP

 

神奈川県日中友好協会の創立40周年記念式典が2022年6月8日、孔鉉佑駐日大使ご臨席のもと開催された。その際、並木裕之会長から、日中の民間友好交流に多大なる貢献をしたとして最年少で感謝状を授与されたのが、二胡奏者の本多ゆとりさんだ。本多さんは、各界代表ら200人が集う会場で演奏を披露した。

小学一年の時、祖母が二胡を習い始めたことがきっかけで、その美しい音色にたちまち夢中になった。日本と中国で二胡を学び、国内外のコンクールで数々の賞を受賞。2019年、中国音楽の最高峰といわれる中央音楽学院の附属中等音楽学校・二胡専門科に入学する。しかし、一時帰国中に新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、昨秋の大学進学後もしばらく日本でオンライン授業を受けていた。ビザの発給再開で渡航間近となった本多さんに、お話を伺った。


 

――中学卒業後、日本の高校ではなく中国の学校で学びたいと思われたのはなぜですか。

せっかく二胡を習うなら、本場の中国で、高いレベルの学校で学びたいと思ったからです。けれども、入試のシステムが日本と異なり、高校から入学できる人数も少なく、外国人としてたくさんの中国の受験生より高い水準を目指すのは大変で、体力的にも精神的にもキツいこともありました。中学時代は朝から晩まで二胡の練習をしているような日々で、長期の休みには中国に行って二胡を習うこともありました。それでも厳しい入試を突破できたのは、二胡が大好きで、二胡を極めたいという気持ちがとても強かったからだと思います。

――これまでの活動で最も印象的な出来事は何ですか。

やはり、神奈川県日中友好協会創立40周年記念式典で演奏したことです。孔鉉佑駐日大使や神奈川県の黒岩祐治知事が最前列に座り、演奏を聴いてくださいました。演奏中はいつも曲の背景を考えていますが、この演奏が両国の友好につながりますようにという願いも込めて弾きました。演奏後、孔大使から「演奏、良かったですよ」「引き続き中国の音楽を学び、“中日友好”の使者となってください」と声をかけられ、うれしかったです。孔大使は翌日、ツイッターに「祝賀会で二胡演奏を披露した若い日本の演奏者、あまりの上手さでびっくりしました」と感想を投稿してくださったんですよ。

――今後の抱負をお聞かせください。

大学では、二胡の演奏技術をさらに磨くと共に、中国の音楽についてもっと勉強したいです。北京の天壇公園や頤和園など歴史的な名所も好きで、長い歴史のなかで積み上げられてきた中国文化のすべてが興味深いです。中国の公園は住民同士の交流の場にもなっているので、そこで二胡を演奏して、周囲のおじいちゃん、おばあちゃんたちの反応も見てみたいです。

卒業後、日本に戻ったら、二胡の教室を開いたり、You Tubeで演奏動画を配信したりするなど、多くの日本人に二胡という楽器を知ってもらえるような活動をしたいです。日本武道館でも演奏したいですね。そして、二胡を通して中国にも興味を持ってもらいたいです。孔大使が仰ってくださったように、日本と中国の友好の架け橋となる演奏家を目指し、これからも精進していきます。