歴史的転換点にある中国で 企業のあらゆる課題を解決

2021年11月1日号 /

在中国日系企業の組織づくりをサポート

株式会社 TAO Partners 代表取締役社長
Invenio Asia Holdings.,Ltd (Hong Kong)CEO

大城 昭仁さん

野村證券、独立系投資会社を経て、2004年にMckinseyのOBが設立したコンサルティング会社、インヴィニオに入社。100社を超える上場企業において、次世代経営者の育成、新規事業創出、PMI、グローバル組織開発プロジェクトなどを主導。2011年より中国代表、2016年よりアジア代表に就任。2019年、株式会社 TAO Partnersを設立し、インヴィニオのアジア部門をMBOすることで独立。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリ スト(CIIA)。上海市浦東新区外商投資企業委員会常務理事。日本中華総商会執行理事。東洋経済Online、WheneverBizCHINAなどで対談・連載多数。

 

満足度の高い講演が評判を呼び、今年5月、日本人大学生と中国人留学生が日中の未来を担うリーダーとなるべく企画された「日中協働リーダー育成プロジェクト」において、自身の中国でのビジネスとそこから得た思考法などを話した。参加者からは、「中国でゼロから起業した話に驚いた」「長期的な視点が興味深かった」と大好評。優勝チームにアドバイスしたところ、さらにブラッシュアップした案が届いたので、アクセラレータープログラム(事業共創支援事業)を紹介した。

日系企業の組織づくりに関するあらゆる課題解決に取り組んできた経験に、逐次アップデートした分析データを活用しつつ、「異文化」と「マネジメント」という2つの軸から解説する講演は、幅広い世代に人気で、雑誌の対談や連載でも活躍を続けている。

率先して海外出張へ

中国でビジネスを展開しようと思っていたわけではない。大学卒業後は証券会社に入社。2006年、30歳を越えた頃に、これからの人生を考えようと、休日に友人たちとホワイトボードがある喫茶店に集まった。仕事で培った手法でさまざまな分析を行い、今後の世の中を予想した結果、「今まではドメスティック(国内的)に生きてきたけれども、海外に出て行かないとおもしろくなさそうだ。5年以内に海外に出るぞ!」。

そうと決まれば、海外での仕事を自ら切り開くしかない。日系企業相手にコンサルティングを仕掛け、率先して海外出張に行った。

2008年に経営破綻したグローバル企業の買収を手始めに、商社の海外人材育成などを手掛けると、翌年、日系企業の中国現地化の話が大手3社から持ち込まれた。中国でプロジェクトを推進するうち、「この仕事、自分に合っているな」と実感。中国で起業し、中国人社員と一緒にビジネスを始めることにした。

「中国は日本と文化が違うから、日本とマネジメントを変える必要がある。一筋縄ではいかないところがおもしろいと思いました」

ところが、日系企業で働く中国人の実態を読み誤り、起業して半年で倒産の危機に。国慶節に日本に帰り増資を受けると、中国人向けコンテンツを開発。それがヒットして、2年目に業績黒字を達成した。

あせらずに中国と交流を

日本との文化の違いだけでなく、中国国内の世代による気質にも顕著な違いがある。特に中国の90後(1990年代生まれ)以降の若者は、仕事では優秀だが、年上の人の話よりもネットの情報を信じる。そんな中国の若者の研究は、喫緊の課題となっている。

目覚ましい発展を遂げる中国には、日本の若者にとっても確実にチャンスがあるという。だから、新型コロナの影響ですぐに中国に行けなくても、「あせらずに、中国とオンライン交流を続けてほしい」と願う。

いま、中国が歴史的転換点にさしかかっているのを感じている。その大きな視野と確かな実績が、柔らかな語り口と相まって、顧客の信頼度のみならず、数々の講演の満足度の高さにもつながっているのだろう。