北京冬季五輪の開会式で強い印象を与えた、二十四節気。中国で生まれた四季の移り変わりを表す美しい文化で、日本でもそれに因んだ風習も多い。
このように共通の文化を持つ中国と日本が芸術面で融合できる可能性は大いにあると考えており、昨年「変面と東京の名所のコラボ撮影」を実施した。
以前から伝統芸能をもっと身近に感じてもらいたいとの願いもあり、変面と東京の街中の「ある意味での親和性」を表現できないかと、風景写真家の峰脇英樹さんに依頼。コロナ禍の移動制限で場所を東京都内に絞り、日本橋、東京駅、浅草などの名所、満開の桜の下などで撮影した。
しかし想定外の事もあった。撮影は晴れの日に行ったが、7月に入ると外に立っているだけで汗が出る。私は頭から爪先まで真っ黒の衣装に身を包み、顔にはお面。1日の撮影が終わるまで約2〜3時間、水分補給もできず、危険な状態。この時の苦い思い出は「夏の時期に野外での撮影は二度としない」という良い教訓になった(笑)。
一方で嬉しい出来事もあった。公園で撮影中、学校帰りの子供達が近づいてきた。最初はお面の柄に怖がっていたが、いざお面が変わると「あ! 猿になった!」等、驚いて拍手をくれた。思いがけない観客からの声援に疲れも飛んだ。舞台以外の場所でも親しみを感じてもらいたい、という目標を一つ体現できた。
今後も中国の伝統芸能を広く伝える為の手段を模索していきたい。
文◎王文強(おう・ぶんきょう 変面役者)