今どきの博物館

2023年3月1日号 /

大家好、麻雀スズメのNANAだよ! 日本で3月と言えば卒業式や異動の季節、新たな生活に期待と不安を寄せる人も少なくないのでは? 中国では3月は春遊(春の小旅行)の季節! そして学生にとって春遊といえば博物館見学。今日は、今どきの博物館事情を紹介するね。


今、中国の博物館観光は大人気。「没頭型」のエンターテインメント体験やデジタル化応用シーンの建設が推進され、博物館は新しい時代を迎えているよ。

全国各地の博物館では、より多くの若者を対象に、文化の深さや楽しさを感じさせるような工夫がされているよ。

まずは、異業種提携。例えば、湖南博物院は、長沙銀行と、若者に大人気のミルクティーブランドと提携してクレジットカードを販売。このカードは、湖南の観光地である馬王堆漢墓から出土した狸紋漆皿をモチーフにしていて、狸のキャラクターがミルクティーをひっくり返した瞬間がおしゃれにデザインされているよ。博物院の所蔵品や歴史典籍、民俗を若者のライフスタイルと融合することで、消費者とのコミュニケーションを図ると共に、文化クリエイティブ製品としてコレクションしたい! と思わせる仕掛けがされています。

次に、宣伝方法の若年化。北京の故宮博物院は、ソーシャルメディアのマーケティング手法を取り入れて、博物館文化IPを創り出し、文化クリエイティブ製品の販売で収入の大幅な増加を実現。中国の主なSNS上で故宮博物館のアカウントを開設したり、携帯アプリや文化系バラエティ、ドキュメンタリー番組を出品したりして、注目を集めたよ。

また、広東博物館は、美食をテーマにした文化講座サロンや展覧形式のレストランを展開。例えば、紅楼夢をテーマとした特別展示会「紅楼夢午後ティー」等のイベントを実施。これは、広東民衆の「食を天とする」文化によく合っているね。

このように、博物館は文化財の文化的価値を実現するために努力していて、清華大学文化経済研究院と天猫が共同で発表した「新文創消費動向報告」によると、淘宝天猫の2019年の博物館文化クリエイティブ製品の規模は2017年に比べて3倍に増加しています。

でも、新しい博物館が続々と建設され、新しい試みが話題にされる一方で、文化クリエイティブ製品の過度な販売による利益重視や、博物館の文化的意義や、伝統文化の尊重について危惧する声も出てきています。


今後、インターネットとデジタル技術を利用して、博物館をより多くの次世代の視野に入れることと同時に、博物館自身も絶えず多様な展示形式で文化財の価値と意義を伝え、人々の精神文化を豊かにする使命を忘れないことが大切だね。それでは、次回をお楽しみに!

文◎新出歌名子(北海道出身、北京在住。清華大学MBA在学中)

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