日本と中国NEXT 井伊菜月さん

2023年2月1日号 /

井伊 菜月さん

宮崎県出身。大学在学中に蘇州大学と北京語言大学へ、大学院進学後に北京大学へ、3度の中国公費留学を経験。2016年、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修了。同年、JX金属入社。2021年6月、ドイツ・フランクフルト赴任。

 

母校の交換留学で蘇州大学、(公社)日中友好協会奨学金制度で北京語言大学、大学院進学後は北京大学へと、3度の中国留学経験をお持ちで、現在ドイツのフランクフルトで働かれている井伊菜月さんにインタビュー! グローバルに活躍される井伊さんに、中国留学での経験や現在のお仕事についてお話を伺いました。


■中国を学ぼうと思ったきっかけ、また北京語言大学を留学先に選ばれ理由は?

大学では国際文化学科で学びました。姉妹校提携を結んでいる中国の大学から毎年短期で中国人留学生の受け入れを行っており、大学二年の時、留学生のお世話係をしました。初めて中国人の友達ができ、また中国人同士の会話を聞いて中国語の音の美しさに魅了され、元々少し話せるようなったらいいなくらいの気持ちで中国語を第二外国語で選択しましたが、中国語に対する思いが強くなり、大学の交換留学で一年間、蘇州大学に留学しました。

帰国後参加したスピーチコンテストで、同じ一年の留学経験にもかかわらず流暢に話す他の参加者を見て、私の中国語はまだまだだと思い、(公社)日中友好協会の奨学金に応募しました。中国の北と南では大きく文化や発音が違い、次は北に行きたいという希望から、北京語言大学に留学が決まりました。

■現在留学中、また留学を悩んでいる後輩へのアドバイスは?

◎現在留学中の方へ

大学主催のイベントや旅行には積極的に参加し、外国人との交流機会を増やすことが大切だと思います。10年以上経った今でも連絡を取り合ったり、結婚式に行ったり、一生の友達ができました。

◎悩んでいる方へ

①卒業の遅れ→全く気にする必要はないと思います。学生のうちにできること、やりたいことはやっておいた方が絶対に良いです。新卒で周りより年上だったとしても、働き出したら関係ないですよ。
②費用→色々な機関が若い世代に奨学金の機会を設けているので、しっかり調べ自分に合った奨学金制度を利用するのも良いと思います。
③周囲の反対→中国に対する間違ったイメージや情報だけで反対されることも少なくないと思いますが、正しい情報を知ってもらうことが大切だと思います。私は3度中国に留学しましたが、本当に行ってよかったです。

■留学中に嬉しかったこと、辛かったことは?

嬉しかった事はたくさんあります。中国国内を一人旅して、一人で生き抜いていく事には喜びを感じました。地元のドライバーさんと軽く喧嘩ができた時は、とても嬉しかったです。ただし、自分の身は自分で守るよう心掛けて下さい。外国人の友達と中国語でガールズトークができたこともいい思い出です。

辛かったことはもしかしたらあったかもしれませんが、振り返ると全て良い経験で思い浮かびません。

■今、ドイツで働かれている理由は?

会社のお客様や子会社が中国に多く、中国勤務をしたくて現在の職場に入りましたが、人事異動でフランクフルトにある事業所に異動を命じられ、去年の6月からドイツに来ています。中国語ができる強みを生かし中国勤務ができたらベストでしたが、海外に興味がありますし、視野を広げられるという点でも、今回の赴任をポジティブに捉えています。

■日中両国の関係発展に必要なこと、相互理解に必要なことは?

政治経済の面では国として色々課題があるのだと思いますが、人と人との付き合い、お互いを知っていくことが基本であり、一番大切なことだと思います。

中国留学経験がある人や中国人の友達がいる人は、本当に中国が大好きで、知れば知るほど魅力的な国です。イメージや先入観だけで判断するのではなく、正しい情報を知ることや、実際に中国の人と話すなど小さなきっかけをもつことが、相互理解の大きなポイントになると思います。

 


取材後記

インタビューを通して、井伊さんの適応能力に驚かされることばかりでした。中国一人旅でドライバーさんと喧嘩になったり、思いがけずドイツで働くことになったりしても、ポジティブに捉えることができる井伊さんが羨ましいと思ったと同時に、自分もそういった人間になりたいと思いました。

インタビュー時(2022年12月)、北京語言大学では約1カ月半近く学校外に出ることができず、ネガティブになりがちでしたが、井伊さんのお話を聞いて自分も前向きに捉えようと思いました。日本や中国とは違ったドイツのお話まで聞けて、とても楽しいインタビューになりました。

(北京語言大学 藤岡真菜)