日本と中国NEXT 筒井智大さん

2022年7月1日号 /

筒井 智大さん

慶応義塾大学卒業後、2013年より三菱マテリアル株式会社に入社。銅製品の営業及び経営企画職を経て、2022年よりMBA留学。
大学在籍中は(公社)日中友好協会の国費留学プログラムにより、2010年~2011年の間に上海市の同済大学へ留学。

 

「後悔していることは無い。強いて言うならもう一年いたかった。」留学生活で後悔していることを問うた時、こう即答された。

慶応義塾大学在学中に日中友好協会の国費留学プログラムにより、2010年~2011年の間に上海市の同済大学へ留学。卒業後は三菱マテリアル株式会社に入社され、銅製品の営業及び経営企画職等を経て、今年は米国へMBA留学を予定されている。ご自身の留学経験や今の仕事に繋がるまで、その飽くなき向上心に迫った。


■まず、中国に興味を持ったきっかけを教えてください。

高校の修学旅行で初海外が中国でした。元々歴史には興味がありましたが、兵馬俑・万里の長城などを見て、こんなに広大な国が隣にあったのかと感じたのがきっかけでした。

 

■上海の同済大学に決定したプロセスと、そこで何を学ばれたのでしょうか?

(公社)日中友好協会の留学プログラムを使って派遣されました。当初は北京大学を希望していたので、上海に決定した時は少し落胆したのですが、本当にインターナショナルな都市で、今振り返れば上海で本当に良かったと思っています。そこでは経済や外交の授業を取っていました。同じく中国語を学んでいた外国人留学生や中国人学生との交流は特に印象に残っています。大学のバレーボール部に所属し、一緒にスポーツをして、その後共にお酒を飲んだり、非常に充実した毎日でした。

 

■中国留学時代に学ばれたことが、今のお仕事に活かされていると実感することはりますか?

間違いなくあります。インターナショナルな人々とコラボレーションできる能力や多文化共生への理解は、他の国の人と共同生活した経験が生きています。また以前、中国のM&Aの案件を担当した時は、中国語を大いに活かしました。

2017年、江蘇省・蘇州工業園区にMM Metal Products SuzhouをM&Aの一環で設立

中国で感じたのは、日本=製造業というイメージが中国国内ではある。だからこそ、日本のお家芸である製造業に関わりたいと考え、またやはり中国ともこれからも関わりたいと考え、今の仕事を選択しました。今でも中国語の資料を読んだり、アジアで仕事をするうえで、中国語の重要性は常に感じます。

 

■これからのキャリアプランについてお聞かせいただけますか?

アジアにはまだまだ発展しきれていない所があります。一方で日本企業にも、せっかく素晴らしい技術があるのに会社の規模が小さいままだったり、国際経験の不足から世界に発信できていない現状があります。そういう優れた技術を持った日本の製造業を支える仕事がしたいです。その際大事になるのは、どこにいっても生きていけるスキルを身に着けることです。

 

■最後に、今後の日中の架け橋になる若者に向けてメッセージをお願いします。

今後、米中は必ず世界をリードする存在になります。その両国と、日本は密接に繋がっています。アメリカとの架け橋になる人は多いですが、まだまだ日中の架け橋になる人は少ないと感じています。皆さんの若い力で、国の外交では難しい事でも、民間レベルからじわじわと広げていってほしいです。

もしかしたら出会う中国の方が初めて接する日本人があなたかもしれません。留学中は「日本を代表するんだ」という気持ちを持って過ごしてもらえると、きっと良い貢献ができると思います。

 


取材後記

インタビューは終始和やかな雰囲気だった。この日が初対面であったにもかかわらず私の就職相談にまでのっていただくなど、その信頼関係構築力の高さには圧倒された。お話を聴いて思ったのは、行動力の高さと勤勉さが明日の自分を作るということだ。中国語の勉強を始めて2年でHSK5級を取得し、その後も勉強を続けられて今や6級まで取得されているその向上心の高さは目を見張るものがあり、読者も是非参考にしていただきたい。その姿勢こそが将来の日中をビジネスで繋ぐ架け橋になるのだと、確信することができたことは大変大きな学びとなった。

(King’s College London, 人民大学 郭拓人)