北京冬季五輪・女子アイスホッケーの舞台「キャデラックアリーナ」

2018年9月1日号 /

2022年北京冬季五輪の女子アイスホッケー会場となっている「キャデラックアリーナ」は収容人数1万8000人の屋内競技場。スポーツ以外にもコンサートなど様々な興行イベントで使われている。周辺施設を含んだ複合型のレジャースポットとして再開発が進められており、五輪開催時はシンボルの一つとなりそうだ。(本紙取材団)

スポーツから音楽公演まで1万8000人収容の巨大施設

キャデラックアリーナは北京夏季五輪前年の2007年に完成した

 

キャデラックアリーナと聞いてピンとこない場合は「五棵松体育館」なら分かるだろうか。2008年北京夏季五輪のバスケットボールの会場として使用された体育館である。命名権が売買されている現在は2017年10月からゼネラルモーターズのブランド・キャデラックの名前を冠している。マスターカードセンターという時代もあった。

建築面積は約6.3万平方キロ。建物自体はとてつもなく大きいが、立地する敷地全体が広大なため、離れるとぽつんと小さく見えるのも中国らしい。08年の五輪時にあった3つの野球場はなく、現在はアミューズメント・パークを含む商業施設となっており、複合型レジャースポットとして週末は大勢の人でにぎわうという。地下鉄1号線「五棵松駅」に直結しており、交通の便もよい。

 

年間90以上の興行イベントで使用

案内をしてくれた管理会社・華熙国際文化体育発展有限会社行政総監の陳富鵬さんによると、ここでは年間90以上のスポーツなどの興行イベントが行われているという。筆者らが訪れたときには曲芸団「シルクドソレイユ」の公演期間中で、ステージには大掛かりなセットが設けられており、内部の撮影が許されなかった。
その施設内部は、だ円状の3層の観客席が広がり(写真左)、その外側にある会場内を移動するための廊下には、これまで開催されたNBA(米プロバスケットボール)の試合や国内外の著名アーティストによるコンサート、また習近平国家主席ら政府の指導者が訪れた際の写真がいくつも展示されていた。陳さんはVIPルームを案内してくれた後、「中国ではこうした施設をつくる際には必ず設けなければならないものがある」と話して、金属探知機が配備された政府要人専用の出入り口も見せてくれた。

アリーナ内部の様子(キャデラックアリーナ公式サイトから)

冬季五輪では女子のアイスホッケーが行われるが、建設時からホッケー競技の使用が考慮されていたという。
現在中国はKHLと呼ばれるロシア、フィンランドなどで構成のプロアイスホッケーリーグに参加している(2016年から)。KHLは米国やカナダなどで構成のNHL(北米リーグ)に次いで世界で2番目にレベルの高いリーグであり、その公式戦も行われるため、ホッケー競技の実施も視野に設備も整えられた。最近ではNHLのプレシーズンマッチも開催されている。
施設の向い側では工事が進められており、陳さんによると冬季五輪に向けてアイスホッケー専用のトレーニングセンターが建設中とのことだった。

隣接の娯楽施設「ハイ・パーク」にはバスケコートが11面

同じ敷地内にあるアミューズメント施設「ハイ・パーク」には屋外に4つ、屋内に3つの計11面のバスケットコートがあった。筆者らが訪れた際には、小中学生のバスケチームが練習をしていた(写真)。コートの中にはNBAで使用されるものと同じ素材を使ったコートもあり、NBAの公式戦が行われる際には選手の練習場として使われるという。このほか、飲食店やアトラクション、コインゲームが楽しめる場所もあった。

(取材日/2018年8月7日)