緊急取材! 南京在住の話題のドキュメンタリスト竹内亮さんが見た日本と中国

2020年4月1日号 /

南京在住の話題のドキュメンタリスト竹内亮さんが制作(3月2日配信)し、世界各国で大きな反響を呼んだ10分間の動画。地下鉄改札通過時やビル・マンション入館時の体温測定、マクドナルドの無接触サービス、外部から南京に戻った人の14日間の隔離…南京の徹底した防衛措置から見えてくるものは? 本紙では、スカイプ(パソコンを用いたビデオ電話)を用いて単独インタビューを行った。(本紙編集部)

 

ドキュメンタリー監督
(株)ワノユメ代表 竹内 亮さん

プロフィール
「日経スペシャル ガイアの夜明け」「未来世紀ジパング」「世界遺産」「長江 天地大紀行」等の番組を制作。2013年中国出身の妻と共に南京市へ移住。2014年に映像制作会社の南京和之夢文化伝播有限公司を創業。『私がここに住む理由』『東遊食記』『速食物語』『和飯情報局』などの番組を制作・配信している

―SARSの教訓から南京市では、感染病専門病院が建てられたと聞きました。

5年前に世界でもかなり最先端の感染病専門病院が建ちました。それが今回活躍したので検査も受けられやすく、感染した方も早く退院できました。

―日本ではマスクや消毒薬以外にトイレットペーパーやティッシュの買い占めも起きましたが、中国では?

南京でも新型コロナの感染が爆発した時は、マスクも消毒液も速攻売り切れて買えない状況が続きました。ただ、それ以外の物流は途絶えることなく、物資も充実して揃っていたので、生活用品が買い占められる事態にはならなかったです。

それは政府が、物流は絶対止めないようにと、物流や生活用品に関わる業界はずっと動いていたためです。他の業界には一定期間仕事をさせなかったのですが。

 

―緊急事態に対する中国の防衛は驚くほど迅速でした。

南京在住の竹内氏が動画配信(3月2日)し、世界中で反響を呼んだ。新型コロナ封じ込めを徹底する中国・南京を歩く

本当にそう思います。さすがだなと。トップダウンで徹底するところとその速度、危機に強いことを実感しました。中国は「とりあえずやってみて考えよう、駄目だったら改良すればいい」という考え。一方、日本は検討に検討を重ねて、実際に物事が進んだ時はミスは少ないのかもしれない。

でも、こうした緊急事態時では中国の動き方の方が強いのだと感じました。どちらが正しいかということではありませんが。

―新型コロナウイルスの経験から学んだことは?危機の時こそ人間の本性が現れるというか、物の本質が表れるのだと改めて感じました。僕は中国全土を見たわけではないですが、少なくとも南京の人たちは経済を完全に犠牲にして、一致団結して絶対に戦うんだという強い意志がある。実際、何週間もほとんどの会社が止まりましたから。でもその厳しい政策・対策に表立って反対する人はいませんでした。

―日本の感染拡大と日本政府の対応を外から見ると?
日本では政府が政策を出すと、未だに反対する人がいて揉める…。でも揉めてる場合ではないと感じます。100パーセント正しい政策など難しいですから、まずはできることからどんどん進めていったらよいのだと。日本社会が緊急事態の対応に弱くなっているように感じます。

日本企業も同じで、新型コロナ流行以前に、検討、検討、会議、会議…そういう風土が全体に反映されているだけだな、と。中日でビジネスをやると必ずそこにぶつかります。日本企業はとにかく決定が遅く、中国企業は早いので、日中でプロジェクトをやると、日本は一体いつまで検討しているのかと(笑)

―南京の街のショートムービー(10分)はかなりの反響があったと思います。

取材依頼は数えきれませんね。「ワノユメ」では、番組の企画から取材、撮影、編集、配信・放送までを、25〜26人でやっています。簡単にいえば小さなテレビ局です。いわゆるオウンドメディアで、スポンサーを自分で見つけて制作も放送もやる、完全に独立したメディアなので中国政府から干渉が入ったことは一度もありません。『私がここに住む理由』では、ディーン藤岡さんや乃木坂46、EXILEのメンバー、俳優の矢野浩二さんなどにご登場いただいている回も。芸能人専門番組『和飯情報局』でも日本の芸能人を紹介しています。