殻をむけば、“豆”にもなり“米”にもなる?

2023年2月1日号 /

落花生の話

中国ではまだ元宵節が先なので、祝日気分たけなわであるが、今回はこの時期のおつまみに欠かせない落花生の話をしよう。

落花生は日本では、南京豆、ピーナッツなどとも呼ばれている。南京豆は古い言い方で落花生のルーツを示すもの、落花生は植物名で一般的な言い方、そしてピーナッツは外来語でそのまま口にすることができる食べ物の意味が強そう、とすれば分かりやすいかもしれない。近所の自家生産物を販売する農家で声を掛けると、「お客さんは殻付きの落花生でしたね」と聞き返してくる。いつも生の殻付きの落花生を買い、塩などの調味料で時間をかけて茹でて、ビールのつまみにしている。

しかし、なぜ「落花生」というのか、田舎で落花生を作り、開花期に観察したから知っているが、答えられない方も多いだろう。開花した花が下向きに伸び、地中に潜って実をつける、それで「花、落ちて、生まれる」(落花生)、不思議な植物なのである。

落花生は“豆”? “米”?

落花生は中国語では、正式な言い方は“落花生”だが、普通は略して“花生”という。殻をむいたものは、“花生仁” “花生豆” “花生米”ともいう。“~仁”とは実(さね)のことで、“~豆”は、落花生はマメ科だからという説もあるが、やはり莢(さや)があり、実の形が豆に似ているからそう言うようになったと思われる。“~米”は一般的な言い方とされるが、殻をむくなど、もみ殻を取り除く米に似ているからだろうと思われる。

落花生は栄養豊富なため、中国では昔から「長生豆」といって重宝されている。その生産量は必ずしも多くなく、非常に貴重であった。主食さえ不足しがちな時代、落花生はお正月のおやつにしか出されなかったほどだ。田舎では主に炒った殻付きのもので、皿いっぱいに盛り付けられたそれがいつも子供たちの目を釘付けにしていた。

炒った殻付きの落花生はおやつとして食べられる一方、お客をもてなすためのお茶のつまみにもなる。だが、食卓には普通上らない。食卓に出たり、酒のつまみにしたりする際、塩ゆでの落花生はお酒のつまみには問題ないが、普通は殻をむいたものである。今や落花生は多くの調理・料理法を通して食客に舌鼓を打たせている。

文化的には、落花生は中国の結婚式に欠かせない。“花生”は「(男女を)交互に産む」という語呂合わせから、新郎新婦をはじめ、賓客も必ず口にするものである。一人っ子政策の時代ではタブー視されていたこともあったが、今はまた活躍している。

食卓でも、文化的にももっと活躍してほしい。

(しょく・さんぎ 東洋大学元教授)