「今後留学する人たちへ」福崎文香(浙江大学)

現地へ留学している、帰国子女である、家族に中国人がいる…等々、正直言って、中国語(外国語)を勉強するにあたって羨ましいと感じる人々は世の中にたくさんいる。それにひきかえ、どうして自分は家の中にずっと閉じこもって、パソコンとにらめっこしていなければならないのか、なんで私だけ…。こう思っている人は、間違いなく日本中に、世界中にたくさんいる。あなた一人だけではない。

かくいう私も、正直、この世の中には努力や思いだけではどうにもならないことがあるのだと、今回初めてここまで強く思い知った。今でさえ、この時期でなければとか、ただ留学しいだけなのにとか、ここまで準備してきたのになんで未だ留学できていないのとか、もどかしく腹立たしく悲しい気持ちは大いにある。しかし、どんなに落ち込んでいても、良い意味でも悪い意味でも時間は進むものである。落ち込んでいる間に、世界のどこかにいる誰かは今日も人生を豊かにしようと努力しているし、はたまた他の誰かは働きながらも時間を見つけて独学で中国語に磨きをかけているかもしれない。一方で、政府は国境開放に向けて日々着々と動いているかもしれない。自分の見えている世界は、ただ自分だけを支配しているだけで、実はものすごく自分が思っている以上にずっとずっと小さいのである。時には落ち込んで辛くても、努力が実らずに心が満たされなくても、どうか視野を広げて周りの環境や自分の人生を俯瞰してほしい。SNSで同じ境遇の人を探すのでもいい、外に出てリフレッシュするのもいい、友達とおしゃべりするのでもいい。同じ思いをしている人はたくさんいて、それでもなんとか今いる環境下で自分のやりたいことを貫こうとしている人もたくさんいることを知ると、それだけで心が少しだけ軽くなるはずである。

一つだけ具体的なアドバイスをするとすれば、常に選択肢を広げておくことである。コロナのことに限らず、不確実性の中で生きている以上、許されるならばなるべくたくさんの選択肢を設けておくべきである。自分にとって不利にならないように、自分の将来をまず第一に考えて、A案がだめだったらB案、B案もだめだったらC案といったように。留学できないのであれば就職する、ワーホリする、留学先を変える等々。それに伴って情報収集をしながら動きまわるべきである。待つだけなら誰でもできる。自分の未来を決めるのは、現在の自分である。

以上、偉そうに書いたが、8割がた自分へのメッセージでもある。どうか、今できることを一生懸命やって、時には休みながら、来るべき時のために粛々と自らを磨いてほしい。