「留学前のイメージと現実:違いと新しい発見」森田 琴美(復旦大学)

中国の生活環境

日本で生活していると、中国に関するネガティブな側面が報道されることが多くあります。その影響もあり、中国に渡る前は、環境汚染や中国の人々が日本人に対して抱く感情について、少なからず不安を感じていました。

実際、私が生活している上海は中国の都市部であるため、空気が澄んでいないと感じることも多々あります。特に冬場は、数十メートル先の景色が鮮明に見えないことも珍しくありません。しかし、数十分タクシーで移動すると、自然あふれる農村のような場所もあり、そこでは日本と同じような澄んだ空気を感じることができます。

また、自然環境以外の面でも、暮らしやすさを感じる場面は非常に多いです。タクシーはアプリで簡単に配車でき、日本よりもはるかに安い料金ですぐに利用できますし、大学の食堂が空いていない時間帯でも、「外卖」と呼ばれるデリバリーサービスを使えば、500円もかからず、最短15分ほどで美味しい食事を取ることができます。

こうしたサービスが充実しているのは、人口が多く、携帯一つであらゆることが完結するよう統一化されている中国だからこそ実現できている面もあります。一方で、その裏側には賃金が非常に低いという問題も存在しており、便利さの背後にあるもう一つの側面にも目を向ける必要があるのではないかと感じています。

中国人に対するイメージ

日本のメディアで語られる中国人のイメージは、決して良いものばかりではありません。特に、ルールやマナーに関する問題について取り上げられることが多い印象があります。

しかし、実際に中国で生活してみて感じるのは、日本人が「マナーが悪い」と感じる場面の多くは、文化の違いによって生じているものだということです。人口が多く、労働力が十分にあるため、街の至る所に清掃員が配置されており、「誰かがやってくれる」という発想が根底にあります。これは良い・悪いという問題ではなく、日本と中国の社会構造の違いから生まれる摩擦なのだと思います。

また、良くも悪くも物事が大らかで、いい加減な部分も多いと感じます。日本人と比べると他人の目をあまり気にしないため、精神的にとても楽です。一方で、手続きなども同様にいい加減なことが多く、この国でうまく生活していくためには交渉力が不可欠だと感じました。一度は無理だと言われた手続きでも、理由を丁寧に説明したり、事前に提示されていた書面を示したりすることで、対応してもらえた経験が何度もあります。自分の要望や必要事項を自ら説明する姿勢が重要だと実感しました。

また、今年は抗日80周年ということもあり、日本人に対する反日感情についても不安を抱いていました。実際、タクシーに乗った際に、ドライバーから日中関係について話を振られたこともあります。しかし、私が中国語や中国文化に関心を持っていることを伝えると、次第に打ち解け、最終的には楽しく会話をすることができました。

この数ヶ月間で日本人であることを理由に差別的な対応を受けたことは一度もありませんし、むしろ「よく来てくれたね」と歓迎してくれる人や、「日本が好きだ」と言ってくれる人も多くいます。もちろん、彼らには彼らなりの歴史認識があり、それを真っ向から否定したり、反日感情を煽ったりするような言動には注意が必要です。しかし、14億人いれば14億通りの考え方があるように、対日感情についても過度に神経質になる必要はないと感じるようになりました。

自分の国の言語や文化に関心を持って学ぶ人に対して、攻撃的になる人は世界中どこに行ってもほとんどいませんし、生活する上で「日本人である」という理由だけで警戒心を持つよりも、中国の文化を尊重し、理解しようとする姿勢を持つことこそが、何より重要なのだと感じています。

どちらも上海の景色。現代的なイメージとは別に、美しい自然もあります。

大晦日に行った火鍋屋で隣の卓の中国の方が日本に何度も行ったことがあるそうで、盛り上がりました。