「流行として中国に根付く日本のポップカルチャー」森田琴美(復旦大学)

3ヶ月の留学生活を経て、様々な場所に出向き、様々な人と関わる中で、日本の文化が今の中国でどれほど幅広く受け入れられ、ひとつの“流行”として定着しているのかを強く感じています。

上海という土地柄、世界各国の文化や料理に触れることができますが、その中でも日本のアニメやキャラクター文化は特によく目にします。外灘近くの南京东路にはちいかわのショップがあり、連日多くの中国人が列を連ねていますし、コーヒーチェーンが鬼滅の刃とコラボしているほか、雑貨店にも日本のキャラクター商品が数多く並んでいます。

先日中国の美容室に行った際にも、お店のスタッフが鬼滅の刃の映画を見に行ったことを嬉しそうに話してくれたことがきっかけで友達になりました。また、中国の学生のカバンには、日本でもよく知られているキャラクターのキーホルダーが付いていることも多いです。

一方で、中国で生活していると、この国がとてもドメスティックであると感じる場面もあります。例えば、飲食店で洋楽やK-popが流れていることはほとんどありませんし、外資系ブランドの広告にも中国人モデルが起用されることが多く、日本ほど海外文化に触れやすい環境ではないと感じます。

そのような環境の中でも日本のアニメは広く知られており、日本で育ってきた私よりもずっとアニメや音楽に詳しい方が想像以上に多いと実感します。今月になって日中関係は緊張状態にありますが、上記のような状況に特に変化はありません。

むしろ、中国で受け入れられている日本文化が多いからこそ、日本人だとわかると積極的に話題を提供してくれる方が多いと感じるほどです。

少し本題から逸れるかもしれませんが、今のような日中関係の中でこのような経験をすると、日中の友好は政治や経済だけでは語ることのできないものだと感じます。

また、どのような状況に置かれても受容され続ける日本のカルチャーの素晴らしさも同時に実感します。

中国の方や他国からの留学生が、私が日本人だとわかると「日本のここが好き!」と話してくれる場面を多く経験したことで、日本にいた時には当たり前だと思っていた価値をより客観的に再認識できましたし、自分が日本人であることを誇りに思うようになりました。

新しい文化に触れることだけでなく、こうした気づきを得られることも、中国留学で手にした大きな財産であると感じています。

ショッピングモールを走り回るウルトラマン

中国のポケモンセンター 多くの人で賑わっていました

上海にあるコメダ珈琲