「中国の流行について」松永翔薫(上海外国語大学)

11月になり、先月までの暑さが嘘のように寒い日々が続いています。街中では、多くの人が分厚い服を着はじめ、本格的な冬に向けて準備を着々と進めています。そんな季節の移り変わりと同時に、日中関係の不安化により少し過ごしにくい1か月でもありました。家族や友人など多くの方々から心配の言葉をもらい、感謝する気持ちの反面、実際に中国にきて、生の中国を本気で見てもらいたいという複雑な心境でした。こうした状況ですが、変わらず中国のリアルを伝え、一人の民間人として、文化的、人的交流を続けていきたいと思います。

それでは、今回の本題に入っていきます。中国国内の流行について、今は『鬼滅の刃』が人気の中心になっていると感じます。中国での上映が決定したあとには、街中が鬼滅の刃の広告であふれているほどでした。また、南京東路のような繁華街では、普段からコスプレを楽しんでいる人もいますが、特に最近は鬼滅の刃のコスプレをしている人が多いように見えました。また、luckincoffee(瑞幸咖啡)のような中国の有名コーヒーチェーン店では、コラボ商品の発売も行われていました。これだけ日本の文化が中国で受け入れられていることは、日本人としてとてもうれしく思います。もちろん中国発のゲームやアニメの人気も高く、推し活が生活の一部として広く受け入れられていると感じます。

映画館

luckincoffee(瑞幸咖啡)のコラボ

 もう一点、流行とは少し違うことではありますが、中国では「スマホ一つで生活が完結する」社会になっています。デジタル化の発展により移動、買い物、食事など生活におけるすべての面でスマホの存在が何より重要なものになっています。また、知りたい情報があれば、アプリでありとあらゆる情報を手に入れることができます。今月、江西省上饶市に旅行に行きました。ここは、ほぼすべての観光客が中国人で日本のネット上にはほんの少しの情報しかありませんでした。そのため、小红书を使いどうやって行くか、どこに泊まるか、何があるか、すべてアプリ内で情報を得ました。実際に行ってみて、こうしたアプリの情報がなかったら、中国の奥深くまでは到底たどり着けないなと感じました。中国ではこれが日常になっていますが、これはデジタル化の進んだ中国が作り出した文化であり、一種の社会的流行だと思います。この点を理解すると、より中国での生活が楽しくなるかもしれません。

江西省上饶市望

夜景は特に絶景