「魯迅公園で出会った、温かい交流とシニア世代の暮らし」松本莉欧(上海外国語大学)

侬好!(上海語:ノンホウ)

今回は「魯迅(ろじん)公園で見つけた中国のシニア世代の暮らし」について紹介します。

中国では、公園や街角、広場などの至るところで、シニア世代の方が生き生きと日常を楽しむ姿を目にします。

音楽に合わせてダンスをする人、麻雀を囲む人、公園で太極拳をする人、楽器を演奏する人など様々です。

石畳に水筆で文字を書く様子

このレポートを通して、上海現地で過ごす私の見たリアルな中国を、少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。

魯迅公園にて(11月末日・午後)

私が通う上海外国語大学の近くにある魯迅公園を訪れました。

公園内のマップ

最初に、健康遊具の集まる広場へ向かいました。

広場で運動する様子

利用者の多くはシニア世代で、皆さんとても軽やかに体を動かしていました。また、ここは運動をするだけでなく、同世代との交流を楽しむ場にもなっているようです。

Aさん(女性)との会話

── どのくらいの頻度で公園に運動しに来るんですか?

「よく来るよ、週4回くらい。時間があったら来てるね」

── 中国では公園で体動かすご年配の方をよく見かけます、日本では見慣れない光景なのでとても新鮮なんです。

「ん~、でもこうやって公園に来て運動しているのは一部だよ。あとは孫を連れて遊ぶ人が多いねえ、ハハハ」

── 今の生活の楽しみはなんですか?

「毎日が楽しいよ!なんだってそうだよ、あなたとこうやって話しているのも、さっきみたいにここに来てる人と話すのも。毎日こうして運動できたら、それでもう幸せだよ」

次の目的地へ

次に、以前から交流のある二胡の演奏を楽しむコミュニティのもとへ向かいました。

魯迅公園の湖。左手の小屋の屋根下が、二胡の練習場所です。

Cさん(女性)との会話

── どのくらいの頻度で公園に来てるんですか?

「毎日だね、天気が悪くなければ来てる。大体ここに来るのは定年退職後の人たちだね」

── 二胡を始めたのはいつから?

「退職してからだね。仕事をしていた時は二胡をやろうなんて考えたこともなかったよ。二胡の音色がいいから、友達と一緒に始めることにしたの。今は毎日ここで練習しているよ」

──今の生活の楽しみは?

「二胡を弾くことだね!そして仲間たちと楽しむこと、一緒に演奏すること。みんなで一緒に練習することで、切磋琢磨し合えるの。分からないことがあったらすぐに教えてもらえるでしょ?そしたら成長も早いじゃない。」

その後も、最近のシニア世代の流行りや、二胡の演奏を聞かせてもらい、ゆっくりとした時間を過ごしました。

公園での二胡演奏のひとこま

今回の交流を通して

今回の交流を通して、なぜ中国のシニア世代がこれほど活力にあふれ、生き生きとしているのか、少し理解が深められた気がします。

定年退職後も新しいことに挑戦し、人とのつながりを通して日常を楽しんでいる。その姿勢こそが、エネルギーの源なのだと感じました。

交流の中で感じた温かさ

私の中国語はまだ流暢とは言えず、質問の言葉が出てこなかったり、聞き取れなかったりすることもあります。それでも、公園で出会った人たちは私が日本から来た語学留学生であり、中国語も堪能ではないことを理解したうえで、温かく迎え入れてくれました。

質問するつもりが、気づけば私のほうがたくさん質問されていることもありました。

日本のどこから来たのか、何を学んでいるのか、……。興味を持って話しかけてくれる姿がとても印象的でした。

とくに二胡のコミュニティの皆さんとは、世代も異なり、中国語が不自由なときもある中で、いつ会っても変わらず温かく、輪の中に招いてくれました。

これは上海で生活する私が実際に体験した出来事です。 SNSやニュースだけでは見えてこない、人と人とのあたたかい交流が確かに存在します。

中間テストも終わり、12月は魯迅公園に向かえるチャンスが増えそうなので、とっても楽しみです!

中国に来て二胡を購入しました。留学中に二胡を習いたかったので早速夢が叶いそうで嬉しいです。