「紹興」と聞いて何をイメージする?と友人たちに聞くと、「紹興酒のところだよね!」と返ってきます。紹興酒といえばそれはもう、北京といえば北京ダック、温州といえば温州みかんレベルで、中国にあまり詳しくない人でも何となく知っているほどに有名なのではないでしょうか。私自身も、紹興に行く前はなんとなく紹興酒作ってるところなんだよな~程度の理解でしたし、実際紹興=紹興酒のイメージは間違っていません。しかし、すでに何度か紹興を訪れたことのある現在は、「酒」よりも「烟雨江南」というちょっと気取ったイメージを抱くようになりました。
私が住んでいる杭州市から紹興市までは高鉄に乗れば30分ほどで到着します。運賃も安いので、私の中では気軽に行けるスポットの一つです。これまで夏と冬に何度か訪れていて、よく運河のある古鎮に行きます。ただ不思議なことに、私が古鎮に訪れる度に雨がぱらつき始め、運河からもうもうと霧が立ち込めるのです。初めて紹興に訪れた時はその風景を見てものすごく感動し、手に持っていた紹興酒アイスクリームの包装紙に「烟雨江南」と書いてあるのを見て「まさにこの通りじゃん!」とひとり声をあげたのを覚えています。最近は今年8月末ごろに行き、その時は天気もよく立っているだけで汗びっしょりになるほどの暑さだったのですが、またまた古鎮に入るなり雨が降り始めて少し涼しげな霧の街に一変。夏も冬も変わらない「烟雨江南」な紹興に惹かれ続けた私は、観光地化が著しい東洋のヴェニス蘇州よりも紹興の方がずっと江南風情のある場所だと思っています。
この少し不思議な紹興との出会いから、「北京といえば北京ダック、温州といえば温州みかん」のような表層的なイメージではなく、自分が実際に足を運んだ時にそこで何に心を動かされたか、を大切にするようになりました。北京ダックは全国チェーンがあるのでどこでも食べられます。温州はみかんではなく朝ごはん文化や小吃文化が豊です。天津には天津飯などありません。これが実際の中国なのです。紹興も、確かに紹興酒発祥の地として名を馳せ、歴史を重ねてきた場所ではあります。しかし、霧雨の降りしきる運河を何度も見せられた私には、紹興がまるで「酒ばっかりに気を取られるなよ!」と訴えかけてきているように思えてなりませんでした。ありがとう紹興。中国に留学に来るほどだったら、表のイメージだけに左右されない、自分だけの中国を探し続けたいものです。

雨が降りしきる紹興の運河の様子。この日は平日だったためか人が少なく、聞こえてくるのはやさしい雨音と人々の暮らしの音だけだった。ホテルや商業施設が並ぶ場所とはまた違ったワクワクを感じることができた。

魯迅故里にて、故居内から撮った中庭の様子。雨と古い建築がとても絵になり、なんでもないところでも写真をたくさん撮ってしまった。晴れた日にも来たことがあるが、個人的には雨の日の方が風情があってヒーリング効果が抜群なのではないかと思う。

紹興酒の棒アイス。かすかにアルコールが感じられるデザートだった。私はお酒を飲むとすぐに顔が赤くなるタイプだが、案の定ひとくちかじっただけで赤くなってしまった。




