「留学中に出会った面白くて不思議な出来事 ― 谐音文化 ―」佐伯 茜(上海師範大学)

中国の谐音文化

留学生活の中で出会った、最も興味深く印象的な文化の一つが、中国の「谐音文化」です。

谐音とは、発音が同じ、または似ている語を利用して別の意味を連想させる表現方法を指します。中国語には同音語が多いため、言葉遊びや象徴表現として、日常生活、贈答習慣、装飾、文化行事など、さまざまな場面で広く用いられています。

実際に生活し、人々と交流する中で、中国では谐音が非常に重視されていることを実感しました。以下では、留学生活の中で体験した具体例を紹介します。

1.フルーツと谐音

りんご(苹果 píngguǒ)は、「平安(píng’ān)」を連想させることから、無事や平穏を象徴する果物として知られています。中国ではクリスマスイブを「平安夜」と呼び、この時期には親しい人同士でりんごを贈り合う習慣があります。

また、オレンジ(橙子 chéngzi)は、「成功(chénggōng)」と音が近いことから、成功を象徴する果物とされています。前学期の中間試験前には、リスニングの先生が試験の成功を願ってクラス全員にオレンジを配ってくださいました。

先生からいただいたオレンジ

2.数字に込められた意味

中国では、8・6・9といった数字が吉祥数字として好まれています。

・「八(bā)」は「发(fā:発財・繁栄)」を連想させる

・「六(liù)」は「流(liú:物事が順調に進む)」を連想させる

・「九(jiǔ)」は「久(jiǔ:長久・永続)」と同音

そのため、吉祥数字が多く含まれる電話番号や車のナンバープレートを選ぶために、高額な費用を支払う人もいます。

何か一つ適当に数字を選ぶという場面になれば「8」が選ばれることが多く、飲食店のフリーWi-Fiのパスワードを尋ねると、よく「八个八(8つの8=88888888)」と返ってきます。

 

3.贈り物として避けられる品物

贈り物を選ぶ際にも、谐音への配慮が必要です。例えば、

・コップ(杯子 bēizi) → 「悲(bēi)」を連想

・時計(钟 zhōng) → 「終(zhōng)」と同音(送钟は弔いを連想)

・傘(伞 sǎn) → 「散(sàn)」=別離・離散

・靴(鞋 xié) → 「邪(xié)」=不吉

などは贈り物としては避けられることがあります。もちろん、すべての人が厳密に気にするわけではなく、外国人であると理解されている場合には深く問題視されないことも多いですが、誤解を避けるため、中国の友人に贈り物をする際には事前に確認するよう心がけています。

このように、中国では日常の至るところに谐音文化が息づいています。中国語の音の仕組みを理解していなければ気づきにくい文化ではありますが、こうした言語的な連想を知り、使いこなすことで、中国人とのコミュニケーションがより円滑になります。中国文化により深く溶け込むために、谐音に敏感になることはその第一歩ともなります。

今月の成果

今月は冬休み期間中で授業はありませんでしたが、大きな旅行には出かけず、春節も寮で静かに過ごしました。

その代わり、留学前からの目標でもあった「中国での芸術体験」を増やそうと、寺院、美術館、博物館などに積極的に足を運びました。ついでに以前から気になっていたカフェに寄るなど、上海で過ごせる時間をゆっくりと味わう機会となりました。

上海オーケストラ博物館。中国におけるオーケストラ発展の歴史をたどることができます。

来月の目標

来月から新学期が始まり、クラスも一新となります。まずは一人一人と会話を交わし、クラスメイトと早く打ち解けることを目標にしたいと思います。

外灘で春節の特別演出「打铁花」を鑑賞しました。溶かした鉄を打ち上げて夜空に火花を散らす中国の伝統的な民俗芸能で、迫力ある光景が印象的でした。新年快乐!