約10カ月間の長い旅が終わりました。私は学期間の長期休みの間も帰国することなく中国国内で過ごしていたので、留学期間中はずっと、中国の風土・文化の中で生活をしていました。
私にとって、この留学が初めての海外渡航経験かつ滞在経験でした。前期の間は、中国と日本の習慣や文化の違いや海外で生活をする上で外国人としてしなければならないこと、気を付けなければならないことなどに対処したり、受け入れたりすることに、時間と体力を消費してしまっていました。そのため、午前の授業が終わるとお昼寝をして体力回復する、という生活を送っていました。ですが、前期はまだまだ慣れないこと、新しく出会うこともたくさんあり、毎日を新鮮な気持ちで過ごせていたと思います。
留学後半は、中国特有のシステムや習慣にもだんだん慣れ、前期のように午前の授業を終えても体力が底を尽きないようになりました。そのため、休日や午後の時間にも活動することが増え、一人で南京の名所に行ってみたり、高鉄に乗って遠出したりすることもよくありました。また、中国語力の面も、前期より格段に慣れ、新たに語彙や表現方法も覚えたので、共通言語が中国語しかないグループや友人たちともよく一日かけて遊びに出かけるようになりました。こうした生活の中で、さらに中国語を話し、聞いていたおかげで、中国語を使うことに対してためらいがなくなっていき、次第に言いたいことが中国語で自然と出てくることも増えたように感じています。

後期の時間割。水曜日は朝8時~夜6時まで授業を受けていました。
しかし、留学後半は前半にはなかった問題にも様々直面しました。後期では、中国語のクラスが中級のクラスから高級のクラスに上がったため、課題の要求もより高度なものになりました。個人課題や二人一組の課題であれば、あまり大きな問題は起こらないのですが、少人数グループで一つの大きなプレゼンの準備をしたとき、私のグループは出身国の異なるメンバーが集まり、なおかつ共通言語が中国語しかないという状況だったため、仕事分担やテーマ決めなどで話し合いをするのが特に大変でした。中国語である程度意思疎通を図れるようになった人が集まるクラスだからといっても、ノンネイティブの中国語を完全に聞き取って理解する力や伝わらないと感じた時に中国語で言い換える力が備わっているわけではありません。また、プレゼンの準備の仕方や重要視するポイントがそれぞれ異なるため、話をまとめるだけで一苦労でした。その他にも、プレゼンの要件に合わない部分が出てきたため、軌道修正のために意見をしても、うまく相手に自分の意図したいことが伝わらないということもありました。何とかそのプレゼン課題は無事に終わらせることができましたが、文化や習慣の異なる人達と一つのものを作りあげる際に起きるトラブルや問題を体感した一件になりました。
私が留学を通して学んだものは、人との付き合い方です。先述した通りの文化や教育背景の異なる環境で育った人たちとの関わりもそうですが、年齢の異なる人や立場の異なる人との交流も、留学中はとても多くありました。伝えたいことがうまく伝わらなかったり、反対にうまく意図をくみ取れなかったりすることも多々ありました。しかし、どんな人と関わる場合でも、やるべきことをちゃんとやること、自分の意見や気持ちを素直に伝えることで、良好な関係を築くことができたり、トラブルが起きても修正可能な方向にもっていくことができたりすることを経験し、学びました。
当初の留学の目的は、中国語力の向上と中国の風土や古今の文化を学び体験することでした。もちろん、当初の目的を一年間の中国での生活を通して達成することができましたが、多くの人との出会いや交流を通して、今後社会に出ていく上でも大切なことを学ぶことができたと思います。今後は、この留学を通じて得た語学力や対人力を活かしつつ、中国に関係することはもちろん、その他の様々なことを貪欲に学び、吸収していきたいと思っています。
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