「中国留学を終えて これからの私」若林 郁未(華東師範大学)

約1年間にわたる中国・上海での留学を無事に終え、改めて自分の中で多くの変化や成長があったことを実感しています。このレポートでは、留学中に得た気づきや経験、そしてそれを経て描く今後の展望について綴らせていただきます。

変化の1点目はやはり語学面です。中国語の学習を始めたのは2022年。すでに3年が経過しましたが、今回の留学はその中でも最も濃密な学びの期間となりました。日本にいる間は話す機会が限られており、どこか「外国語を話すこと」自体に抵抗を感じていました。しかし現地で生活し、日常的に中国語を使う環境に身を置くことで、その抵抗感は自然と消え、言葉を通して人と繋がる楽しさを実感するようになりました。

また、留学先には世界中から多くの留学生が集まっており、共通言語として英語でのコミュニケーションが求められる場面も多くありました。そのような日々の積み重ねが、思いがけず英語力の向上にもつながりました。中国留学という経験は、中国語だけでなく、国際的な感覚や多言語での交流力も養うことができる、非常に価値ある時間だったと感じています。

 

続いての変化面はキャリアについてです。留学中に参加した交流イベントで出会った方のご縁から「SuperChinese」というAI中国語学習アプリの日本市場立ち上げを担う機会をいただきました。中国語教育という分野には以前から強い興味を抱いていたこともあり、日本へ帰国後すぐにまた上海に戻り、現地本社での研修に参加し働き始めました。2ヶ月ほど研修に参加した後、東京で日本法人を設立する予定です。現在の職場には日本人は私ひとりで、社員のほとんどは中国人。一部、ロシアやベトナムなど他の国からの同僚もいますが、社内での共通語は中国語のみです。最初は戸惑いもありましたが、毎日中国語で会話し、業務に取り組むことで、ビジネスの現場で必要とされる語彙や表現を少しずつ身につけてきました。まだまだ課題は多いですが、今後も地道に磨き続けていきたいと考えています。

私は現在30代後半です。社会人としてある程度のキャリアを積んだ後に「学生として再び学びに行く」という選択をすることに、共感を得られないことも多くありました。また、中国という国に対して、日本国内ではさまざまな印象や先入観が存在しており、私の決断を理解されないことも少なくありませんでした。

それでも、自分の中で「世界で強い存在感のある中国という国と関わりながら国際的な視野を持った仕事がしたい」という強い気持ちがあり、一度しかない人生の中で今やらなければ後悔すると思ったため、思い切って留学という道を選びました。仕事も一度区切りをつけ、やりたいことに正直になって踏み出したこの決断が、今後の人生にどのような影響を与えるかはまだ分かりませんが、少なくとも現時点では、留学させていただいて本当によかったと心から思っています。

そして今、留学経験を土台に、新たなステージとして中国語教育×テクノロジーの分野に携われていること、そして日中両国の懸け橋となるような仕事に少しでも関わることができていることを、とても誇りに思います。これからも自分の経験を活かし、日本と中国の相互理解と友好関係の深化に貢献できるよう、努力を続けてまいります。