「文化が息づく北京」中溝 明佳(清華大学)

私は現在北京市で暮らしている。近代的な建物と同時に多くの歴史的名所が集まるこの首都は、私にとって非常に魅力的で面白い場所だ。中国といえば思い浮かぶ万里の長城、故宮博物館、天安門、天壇などは北京にある。数々の名所の中で私がおすすめしたいのは玉淵潭公園だ。ここでいう公園は日本でよくある公園とは全く異なる。遊具はなく、大きな湖と木々の生い茂った散歩道がある。玉淵潭公園は桜がとても有名で、春は様々な種類の桜を見ることができる。

玉淵潭公園の桜

留学に来た最初の1ヶ月ほどは当時のルームメイトと週末多くの名所を巡った。そこで一番に感じたのは、どの場所もとにかく規模が大きいということ、数千年の歴史が大きさからも伝わってきた。

また、首都である北京では、国際的な会議や博覧会などの重要なイベントが頻繁に開催されている。今月、中国の友人から国家会議センターで行われている小説ハリーポッターのイベントに誘われ、一緒に行ってきた。すると、思いがけないことに同じ会場で「北京国際図書館博覧会」も開催されており、運よく入場することができた。

北京国際図書館博覧会の会場

中国の児童書から雑誌、小説に至るまで、あらゆる種類の書籍が出展されており、その圧倒的な規模にただ驚くばかりだった。もちろん、中国国内だけでなく世界各地から出版社や関連企業が集まっており、会場全体が非常にグローバルな雰囲気に包まれていた。日本のブースを見つけたとき、多くの人で賑わっている様子を見て嬉しさが込み上げてきた。多数の書籍が展示されており、担当者に少し話を伺うと、日本の書籍を中国語に翻訳し、中国での販売を目的に毎年この博覧会に出展しているとのことだった。一般の見学も可能ではあるが、基本的には企業間の交流の場として設けられているようだった。

会場内の様子

特に印象的だったのは中国のブースでライブ配信を活用して書籍を宣伝していた点である。中国ではライブ配信が非常に盛んであり、書籍の紹介にとどまらず、私が実際に見ただけでも商品や漢服体験ができるお店の宣伝、公園や広場でダンスをしている年配の方々の様子、動物園のパンダの様子など数えきれないほどだ。あらゆるものが配信の対象となっている。どこか人の多い場所に行くと高確率でライブ配信をしている人がいるのだ。そしてその配信には、コメントや投げ銭を送る視聴者がいる。配信者は視聴者から画面をスクロールされずに見続けてもらえるよう、興味を引くような話し方や内容に工夫を凝らしているのが印象的であった。普段なかなか見られない出版業界の現場やライブ配信の活用に直接触れたことで、日中の文化の違いとその勢いを改めて実感する貴重な体験となった。

マレーシアと中国の翻訳・出版関連機関が
戦略的パートナーシップを締結する式典の様子