私は現在、中国人学生が中心の社会学部で授業を受けている一方で、一部の授業は留学生向けのものを履修しており、また外国人寮で生活しているため、中国人と外国人両方の生活スタイルを間近に見ることができる環境にいます。そのため、今回は日本と中国の比較だけでなく、他国の学生とも接する中で感じた相対的な共通点や相違点についても触れていきたいと思います。
似ているところ
中国に来てから改めて感じたのは、中国と日本は非常に似た文化を持っているということです。私が生活している上海は中国最大規模の都市であり、国際化が進んでいて、世界的に共通するルールやマナーも浸透しています。また、治安がとても良く、女性が一人で街を歩いていても不安を感じることがありません。この点は日本と同様で、安心して生活できる要素の一つになっています。
食文化においても、もちろん違いはありますが、東アジアという同じ文化圏に属していることを強く感じます。例えば、両国とも箸を使って食事をし、米を主食とし、主菜やスープがセットになる点などが挙げられます。使われる食材(白菜、キノコ類など)も非常に似ており、ヨーロッパ出身の同寮の友人が「見たことがない食材が多い」と話していたことからも、こうした食材は東アジア特有であることを再認識しました。

相対的に似てるとは書きましたが、こうみるとよくわからない食材も多いです
また、年末年始の行事や遊びにも共通点があります。日本の年越しと中国の春節は日程こそ異なりますが、習字を書く風習や、竹馬や羽子板のような遊びがある点など、年越しにまつわる文化が似ていると感じました。留学生の中でも、日本人や韓国人は比較的馴染みのある風習が多く、東アジアとして文化を共有しているという実感がありました。


異なっているところ
異なる点は数多くありますが、一言で言えば「生活の合理化の度合い」が特に異なると感じます。
例えば、外食時には多くの店舗でモバイルオーダーが導入されており、注文はQRコードを読み取ってスマホで完了します。日本でも普及しつつあるとはいえ、中国ではすでに基本スタイルとして定着しており、対面で注文を受けるのは比較的高級な店に限られます。
また、交通機関においてもモバイル化が進んでおり、電車のチケットはほぼ100%スマホでの利用が前提です。Alipayなどのミニアプリと個人情報を連携させることで、簡単に乗車できます。

改札でQRコードをかざします
シェア自転車(単车)も非常に一般的で、至る所にあり、乗り捨てができる点が便利です。ただし、モールの入り口などが自転車で混雑してしまうことも多く、こうしたルールの「許容度の違い」も日本との対照的な部分だと感じます。加えて、シェア充電器の普及率も高く、日常生活の中で「スマホがないと何もできない」と感じるほど、スマホを中心としたインフラが整っています。
こうしたモバイル社会と並行して、中国では監視カメラの数も非常に多く、街中や大学内、交通機関など至る所で個人の動きが把握される仕組みになっています。移動の履歴は電車、車、シェア自転車にかかわらず記録されていると考えられ、個人情報管理の徹底ぶりに最初は驚きました。ただ、実際に生活してみると、それによって治安が保たれている面もあり、安心して暮らせるというメリットを感じることもあります。
さらに、大学生活の中で印象的だったのが、中国人女性のメイクや服装に対する感覚の違いです。中国の学生は、授業の際に化粧をしていない人が多く、ノーメイクでも特に気にする様子はありません。日本の大学では、多くの学生が毎日メイクをして登校しており、私自身もノーメイクで登校したことはありませんでした。そのため、日本では他人からの視線や評価をより強く意識しているのだと感じました。中国が特殊というよりも、日本が「見た目の細かな違い」に敏感な文化だという気づきがありました。2月に一時帰国した際、改めてこの違いを強く実感しました。
今月は、日本と中国の似ている点、異なる点について、私自身の体験をもとに整理してみました。両国は同じ東アジアに属していながらも、それぞれの歴史的背景や社会構造の違いによって、生活の細部において異なる文化や価値観が存在しています。
中国での生活を通じて、日本のことを相対化して捉え直す機会が増えました。これからも、日中の文化の違いや共通点を体感しながら、互いの良さを理解し、多角的な視野を身につけていきたいと思います。