「漢字の文化」中溝 明佳(清華大学)

留学に来る前は、電子決済は中国の方が進んでいるが他はあまり変わらないだろうという中途半端な知識しかなかった。旅行で中国に来た時とは違い、長期滞在すると新たに気づかされることが多い。

ある時、英語が母語のクラスメイトから日本と中国で似ているところと異なるところは何なのか、というまさに今月のテーマと全く同じことを聞かれた。特に、日本でも漢字を使用するため、中国語を見たときに頭の中でどのように認識するのか不思議に思っていたようだった。たとえ読めなかったとしても意味をなんとなく理解できる場合が多くある。このことを伝えると非常に驚かれる。

中国は漢民族と55の少数民族から成り立つ多民族国家だ。もともと民族によって同じものを示す文字や言葉がそれぞれ違っていた。長い歴史の中で一つの国として統一するためにより便利なものを選別して取り入れ、浸透させてきた。それが漢民族の文明の中で発展した「漢字」だ。漢字は中国の文化を形成している重要なものだ。国が広大なので、言葉に地方差があるのは当たり前だ。北京語と広東語でも発音や単語に大きな違いがある。しかし、どの地方の人でも漢字を読み書き、最も広く使われている共通語となっている。その漢字が日本にも伝わり、歴史や生活文化の基盤になっていることは事実である。漢字一文字ずつに意味があるところも興味深い。私の名前は、両親が一文字一文字の漢字に願いを込めてつけたものだと聞いた。漢字は、言語や文化を表現するうえで非常に恵まれたツールだと思う。

普段の生活の中でSNSが与える影響は大きい。中国では小红书や大众点评といったアプリをよく使い、出かける際の施設利用、食事などで必ずチェックして周りの評価を重要視する。この点も日本と変わらない。高評価のところは人気があり、人が集まる。

よく北京の駅構内で河北省への観光を促す広告を見ていたので、機会があれば行ってみたいと思い休日を利用して河北省承徳市を訪れた。中でも有名な康熙帝の人生を再現した「鼎盛王朝・康熙大典」は大人気の野外ショーだ。ようやく補助席で観覧でき、その迫力に感動したものの、公演中もずっと喋り続ける賑やかな客席と最後まで終わっていないが席を立ち帰る人の多さに驚いた。日本では見られない公共マナーの認識の違いだった。

美味しいと評判のレストランに一人で入ったところ
一人用のメニューがなかったので
泣く泣く二人からのを注文し苦しみながら食べた
河北省はこの言葉をキャッチコピーとして至る所で宣伝している
これは「鼎盛王朝・康熙大典」野外ショーを見た時のようすで
なんと本物の馬も登場し、500名以上の演者が出演する