4月に上海での生活を始めてまず驚いたのは、「思った以上に似ている部分」と「想像以上に違う部分」が、日常生活の中で交互に現れることだった。私は日本と中国、どちらの文化にもある程度馴染みがあるつもりでいたが、実際に現地で生活してみると、机上の理解では掬いきれない細かな感覚の差異が見えてきた。
似ている部分として真っ先に思い浮かぶのは、人間関係の築き方だ。日本でも中国でも、初対面でいきなり距離を詰めるのではなく、まずは軽い雑談や共通の話題を通して信頼感を積み重ねていく。その意味では、例えばアメリカのようにオープンで直接的な関係構築が主流の国とは明らかに違う。また、年長者への敬意や、場面ごとに適切な言葉を選ぶことも両国に共通している。一方で、違いは日常のテンポ感や意思表示の仕方に如実に現れる。上海では、食堂で並んでいるときに割り込みが発生することもあるし、店員さんの対応が早くもぶっきらぼうに感じることもある。最初は戸惑ったが、これは効率やスピードを重んじる都市のリズムの表れでもある。逆に日本は順序や秩序を大切にし、相手のペースを崩さないことを優先する傾向が強い。どちらも長所と短所があり、慣れると見え方が変わる。
食文化の違いも興味深い。日本では「素材の味を活かす」という言葉が好まれるが、中国では香辛料や調味料を駆使して味の層を作る。上海料理は甘味と醤油の風味が特徴的で、日本の煮物にも通じる優しさがあるが、一歩地方に出ると四川や湖南のように辛さで汗をかく料理が中心になる。日本の家庭料理が季節や地域で変化するように、中国も広大な国土と多様な民族性によって味の幅がとてつもなく広い。
こうして似ている点と異なる点を並べてみると、どちらかが優れているというよりも、背景にある歴史や社会構造、気候や経済発展の段階によって自然に形作られた結果だとわかる。私はこの違いを「克服すべき障壁」ではなく、「理解を深めるための入口」として受け止めたいと思う。

東北料理 懐かしの味でした