「中国語の勉強の仕方」千田 健太郎(北京語言大学)

今回は中国語の勉強法について書かせていただきます。とはいえ自身の学習法を紹介できるほど私の中国語力は満足のいく水準に達したとは言い難いのですが、今後中国留学を考えている方の参考になれば幸いです。

私が思うに中国語の最大の問題は、話す年代層・或いは使う場面によって語調も語彙も大きく異なるという点にあると思います。同じ中国人同士ですら、高齢者の話す内容はおろか同年代でも地方の訛りを聴き取れない事があるという場面を数多く目にしてきました。そうした中で私が大切だと思うのは、書き言葉と話し言葉の双方をバランスよく学習するという事です。そうした上で最も効果的な学習ツールは、教科書ではなくメディア媒体だと考えています。

書き言葉

主に中央電視台(CCTV)、新聞などの所謂「公式な」媒体に目を通すようにしています。これらの媒体は国営メディアである為、アナウンサーの発音は極めて標準的であり、新聞においても文法的・ニュアンス的に適切な言葉選びが為されています。政府運営の媒体なので内容に関しては必ずしも国際的な中立性が担保されているとは限りませんが、語学学習と時事ネタの収集を同時に行えるというのは一石二鳥でしょう。毎晩19時にCCTV総合チャンネルから放送される新闻联播というニュースを、パソコン上で繰り返し巻き戻しながら聞いています。新聞についても、大学のすぐ近くに売店がありできるだけ購入するようにしています(最近はかなり読み溜めてしまっていますが、、、)。

主な新聞
人民日報が最も知名度はあるが、繰り返し政府の動向を報じるだけなので毎日読むと飽きると思う
様々な新聞を交互に読んでいる

話し言葉

中国語の口語はネット文化の影響を受けるものが多く、非常に変化のスピードが速いと感じます。こうした主に若者が話す言葉をキャッチするには、ビリビリ(日本で言うYouTubeに当たる映像プラットフォーム)が最も適していると思います。内容は非常に幅広いですが、基本的に動画は全て字幕を付けた状態で投稿されているので学習に十bン活用できると思います(これはCCTVでも同じで、アナウンサーが話す以外の場面には全て字幕が付けられています。同じ中国人同士であっても聴き取れない場合がある為の配慮と思われます)。

ここで肝心なのは、使う場面も一緒に覚えられるという事です。語彙を増やすのは単語帳を読めば事足りますが、実際にネイティブの中国人と会話をしてみると微妙なニュアンスの違いを指摘される事が多々あります(经历と经验、害怕と恐怕など)。そうした違いを覚えるには、動画を通して実際の場面を見るというのが非常に効果的ではないでしょうか。

最近は朝起きて授業に行く前にパソコンを開き朝のニュース(朝闻天下)を見るようにしています。既存知識や映像などでなんとなく内容を推測できてしまうという事もありますが、最近は調子が良いと7-8割くらいは聞き取れるようになってきました。最終的には映像を全く観ずに音声だけで理解できるようになりたいです。一方で、CCTVが聞き取れるようになったからといって調子に乗ると火傷するのが中国語の怖いところ。いざ街に出て老百姓の話している中国語を聞いてみると何も聞き取れません。このように、一喜一憂を繰り返しながら緩やかに成長を続けるのが中国語学習のミソだと思います。