「留学中に経験した面白い、変わった体験」上田 武(復旦大学)

2月、私は新疆ウイグル自治区を訪れました。上海からウルムチまでは、通称「緑皮」と呼ばれる昔ながらの寝台列車に乗って約40時間の旅でした。硬いベッドに揺られながら、車窓の風景が少しずつ変わっていく様子は、まるで時間旅行のようでした。到着したウルムチは、想像とは裏腹に近代的な都市で、高層ビルが立ち並び、街中は整然としていました。世界でも最も海から遠い都市とは思えないほどの都市化に驚かされました。

しかし、上海とは明らかに違う文化も息づいています。街では漢族だけでなく、ウイグル族など多様な民族とすれ違います。看板には中国語とウイグル語が併記され、飲食店では香辛料の効いた料理が並び、異国情緒を感じました。特に心を打たれたのは、ウルムチから新幹線で1時間の場所にある「トルファン」です。ここはかつてのシルクロードの重要な中継地であり、現在も多くの遺跡が残されています。乾いた大地と青空、そして砂漠の中に佇む古代の遺跡は、まるで別世界のようでした。

シルクロードを旅した古代の商人たちがこの地を通っていたと考えると、何とも言えない感動に包まれました。今回の旅は、長期留学という貴重な機会があったからこそ実現できた体験です。中国の広大な土地、そして多様な文化と歴史を肌で感じられたこの旅は、私にとって忘れられない思い出となりました。もし皆さんにも機会があれば、ぜひ一度新疆の地を訪れてみてください。そこには教科書では学べないリアルな中国があります。

 

 

上海発ウルムチ行きの列車 40時間の長旅です

 

車内は3段ベッドです。料金は1万円程でした。

 

ウルムチのバザール

 

トルファン