「登上长城」木村水映(北京外国語大学)

初めての期中考试によって幕が上げられた今月。緊張しつつも大いに楽しみながら終えたこの「大舞台」が今や懐かしく思えるほど、11月は濃密なひと月であった。

「世界遺産巡りにハマっている」と言うと、あまりに気取っているだろうか。

司馬遷『史記』にて、その長さを「万里余」と評されたことで名付けられた万里の長城。北方民族の襲撃に備え、今から約2200年前、秦の始皇帝の時代に建設が始まった。現存する長城は主に明朝が造営したものだというから、歴史が深いことは言うまでもない。山の斜面に沿い這うようにして築かれた城壁は、鱗のように入れられた防御壁の切れ込みも相まって、まさに天まで昇る龍のよう。中国悠久の歴史を長きに渡り見つめてきた龍の存在感には、思わず息を呑んでしまうほど圧倒された。

「龍の背中」に乗って友人とパシャリ

頤和園は、総面積約290万平方メートルを誇る北京最大の皇家園林である。一日ではまわり切ることが出来なかったのも無理のない話だ。長廊から昆明湖へと目を遣ったのは、太陽が夕日に姿を変えた頃。湖面に煌めく夕日を眺めながら、乾隆帝や西太后も同じ景色を見たのだろうかと思いを馳せずにはいられなかった。

ところで、この長廊。中国庭園の中でも最大規模の回廊で、その長さと装飾が有名だという。梁には花鳥画、風景画、歴史画など14000枚ものの絵画が描かれており、鮮やかな色彩と繊細なタッチに心を奪われた。

斜陽が眩しい画中遊にて

宮廷点心で一服

11月6日から8日にかけ、“在承德语言実践”と題された課外学習でクラスメイトらと河北省承德市へ向かった。北京外国語大学から高速バスに揺られること約3時間。「避暑山荘」とそれを取り囲む寺院霊廟「外八廟」が留学生一行を出迎えてくれた。

1703年に清・康熙帝が着工し、1792年乾隆帝の時代まで約90年の歳月をかけて建設された承德避暑山荘。故宮の約8倍、頤和園の約2倍を誇る、中国最大の皇室御苑である。清がチベット仏教を厚く信仰していた影響から、山荘内外にはチベット族の様式やモンゴル様式の建造物が散見され、特に「普陀宗乗之廟」はラサのポタラ宮を模して作られたというだけあって、「小ポタラ宮」と称されるほど。清の繁栄具合が窺える、異国情緒漂う空間に気持ちも華やいだ。

承德医学院では古箏の体験も

木の香が鼻をくすぐる松枝包子は承德特色美食

「毛泽东写的一句诗叫做:“不到长城非好汉”就是说,不登上长城的人不算英雄。你现在去了长城,也算英雄啦哈哈哈。」

長城に登った日、本科生の姐姐より受け取った言葉である。「長城に至らずんば好漢にあらず」。初志を貫かない者は立派な人間ではないという意味だ。

新たな出会いと経験に胸を躍らせ、中国に飛び込んでから3ヶ月。多くの個性豊かな友人に恵まれ、少しずつではあるが生活にも慣れてきた。将来について深く考えることが増え、新たな目標も見つかった。今の私には、目の前に広がる新たな「長城」への道が何よりも輝いて見える。

長城へのチケットを手に、いざ、頂上へ