「【前編】野生のマンスリーレポート読者と日中交流の必殺仕事人」齋藤あおい(華東理工大学)

野生のマンスリーレポート読者

毎月頑張って書いているけど、このレポートって誰か読んでくれているのかな?

ほかの同期の方のレポートを読んで共感したりフレッシュな気づきを得たりはしているものの、自分が上海生活で気付いたことを書き綴っていると、だんだんと反応がほしくなってきてしまう。

うざいと分かっていながらも、友人や中国研究界隈の優しい先生に送りつけて感想をもらうなどしていた。そんなことをしていたら先日ついに、野生のマンスリーレポート読者に出会った。

先日、私が現在休学中である日本の大学で、学部生さんに中国を体験してもらうツアーが企画された。20人近くが上海を訪れ、短い間ながらも、シティウォークやディズニーランドを楽しんでいた。

私はツアー最終日に、同大学を卒業した友人とひょっこり参加し、お世話になっている先生と職員さんと感動の再会を果たした。かなりの強行スケジュールで動いているようで、お昼ご飯まで1時間しか自由時間がなかった。パワフルな学生さんたちは街中に散っていき、懐かしのメンバーだけが残された。近くのアピタに案内したら、スタッフさんが真剣に日本ブランドの日傘を選び始めたのが面白かった。

皆が泊まっていたホテル。日本語対応のスタッフがいた。私も泊まってみたい

日傘を選ぶのを待つ間に友人が買ってくれたどら焼き。生の苺が入っている

覇王茶姫(いま覇権を握っているミルクティー屋)にも行けないままに自由時間が終わり、自由時間の半分くらいバスを待った。チャーターしたバスが時間にルーズ、これもまた中国である。

このとき、先生からひとりの学部生さんを紹介された。今年9月から南京に留学予定で、なんと中国留学の情報源として、マンスリーレポートを読んでくれいるという。先生が中国語の授業で取り上げてくださったこともあったそうだが、それより前から読んでくれていて、私の名前も知っていた。

感動すると同時に、なんて奇特なひとなんだと思い(失礼)、大興奮で詳しく聞いてみると、留学の情報が学内だと枯渇しているため、外部の奨学金のサイトを参照しているとのことだった。なるほどクレバーな人はそうやって情報収集するのかと感心しつつ、大学内でカバーしきれていない現状を悲しく思った。弊学は毎年、交換留学で中国の枠が必ず余る。このことと、学内でアクセスできる中国留学の情報が少ないこととは無関係ではないだろう。

それでも、コロナ以前からこういった中国に触れる機会はつくられ、少数派とはいえ興味をもってくれた学生さんが留学を決めてきたのである。そこには縁の下の力持ちである先生とスタッフさんがいた。次回、日中交流の必殺仕事人編につづく。