「早起的鸟有虫吃」浅野亜理紗(北京大学)

留学も中盤戦に入ろうとしている。中国語は現地に来たばかりの頃は買物で店員の言う価格が1度で聞き取れず何度も聞き直していたが、最近は一度で聞き取れるようになってきたため、少しばかりは上達したのだろう。現地の方とのやり取りの中で、出身が異なるそれぞれの人が話す中国語に違いを感じる場面がある。北京を含む中国北方の中国語は「儿化音」の程度が強く、話す速度が特に速いという特徴がある。中国新聞網(2021)によると北京在住総人口における他省出身者の割合は2020年11月1日時点で約4割というデータが示すよう、北京における他省からの人口の流動も多い。従って北京語の話者も減少しつつあると推測するが、中国全省の人々と出会える可能性を秘める北京で、色んな方と出会い、自分がどの地域の中国語が好きか発見することも中国語の面白みの1つだろう。

大学付近の牛肉饼店(写真奥の職人は新疆出身の方)

「色んな方と出会い」と言えば、留学中の余暇の過ごし方も重要だ。現地の友人と過ごしたり、休日も学問に励んだり、サークル活動への参加等が一般的だろう。筆者の余暇の過ごし方も基本的には同様だ。

中間テスト終了後に友人と余暇を楽しむ様子

この3か月間で心に残っている余暇にした活動は、「流动儿童友好空间」という流动儿童の居場所を提供している場所で、日本でいう寺子屋のような場所での児童たちと交流するボランティア活動に参加したことだ。流动儿童とは父母が出稼ぎの為地方から都市に来ている児童たちのことを指すが、家庭収入が低く父母が仕事で多忙なため、親子間の時間が少ないために家庭環境や教育の面で様々な問題を抱えているのが現状だ。活動では、様々な遊びの要素を踏まえたアクティビティがいくつか用意され児童たちがそれらに参加し、「情绪(感情)」について共に理解し表現する手伝いを行った。ほとんどが元気活発な幼児から小学生ほどの子供たちだった。中には「お父さんが仕事でいつもいなくて寂しい」という感情を共有してくれる児童もおり、非常に印象に残っている。「寂しい」という感情は年齢に関わらず他人に伝えるのは非常に難しいと個人的に思う。しかし5歳ほどにも関らずその感情を私に伝えてくれた彼の勇気を尊敬すると同時にこれから向き合わなければいけない現実を無事に乗り越えられるよう心から願った。

流动儿童友好空间における子供たちの様子

11月は北京市内でもコロナが再度蔓延し外出が制限され、外出が可能でも外のレストラン等で「堂食(店内飲食)」ができない状況が続いた。留学期間中は、中国のコロナ政策に挙げられるよう、様々の問題やトラブルに巻き込まれる可能性は誰しもある。どのような状況でも一人で抱え込まずに誰かに自分が感じている思いや考えを伝えることを心掛けることを私も実践したいと思うし、ぜひ留学検討中の方には心の片隅にこのメッセージを留めておいてほしい。

心を休ませたい時に訪れる北京大学内の未名湖