「留学を終えて 〜これからの私〜」黒田稔子(北京語言大学)

「なぜコロナ禍の中、留学へ行くのか」と何回言われたかわからない。しかし、留学する前の自分に戻ることができたとしても、同じように留学する選択を選ぶと思う。それぐらい今回の留学は語学勉強だけでなく、自分を大きく成長させてくれた貴重な機会だった。そう思えたことが大きく分けて3つある。

まず、以前の自分よりも中国語のレベルが上がっているという達成感を感じることができたことだ。日本では、中国語を勉強していても、実際に上達しているのかわかりにくかった。しかし、留学中はインプットとアウトプットの繰り返しで、昨日習った単語が会話やドラマで出てきたりと、日々が中国語の積み重ねだった。また、店員が何を言っているのかわからなかったのが、聞き取れるようになった時には自分に対して自信が持てるようになった。日本にいた時は、中国語は勉強というイメージが強く、あまり楽しさを見出せなかった。しかし、中国で生活するうちに、言葉が通じないことが辛いからこそ、スムーズに会話できた時には、「成長している!」と嬉しくなることが多かった。

次に、日本は自分の想像以上に魅力的な国だと実感できたことである。北京語言大学には様々な国籍の人が留学に来る。名前が聞き慣れない国もあり、その国の文化や特徴もあまり有名ではない国もあった。しかし、こちらが日本人だとわかると、アニメや日本のキャラクターを知っている人が多かった。また、アニメを見て「ありがとう。いただきます。かわいい。」など、簡単な日本語を話せる外国人も多く、ベトナムの友達が「テルテル坊主」という単語を知っていて、アニメの力はすごいと改めて感じた。また、日本の制服を私服で着ている人を街中で見かけることもあり、日本の文化は誇れるものが多いと実感した。もちろん、日本を好きな外国人は多いと知っていたが、私の想像を超えており、もっとこういう交流を大切にし、日本の魅力を伝えていきたいと考えるようになった。

最後に、留学中に出会えた人が私を大きく変えたと思う。まず、中国人でいうと、本当に親切で、熱意のある人が多いと感じた。日本人よりも、積極的で温かい人が多く、こういった部分をもっと見習っていきたいと感じた。また、中国に来ている留学中の日本人が個性的な人が多く、日々の刺激になった。特に、日本人のルームメイトが、私と価値観も過ごしてきた環境も違い、色々な見方を持つことができるようになったと思う。ルームメイトと中国の体制や自分が思ったことなどを日本語で言語化した時間が自分の考えがまとめる時間となり、心の支えにもなっていた。北京語言大学に着いた当初は、中国語の上達のために同じ部屋はやめてほしいと寮の管理人に2人でお願いしに行ったこともあったが、今となっては彼女がルームメイトでよかったと思っている。

今回の留学で語学以外にも、考え方の幅が広がり、普段できない経験を積むことができた。留学し違う視点から日本を見たことによって、中国のことを伝えていく仕事だけではなく、もっと日本のことを伝えていく仕事に就きたいと思った。また、日本に来る外国人に対して、中国の人がしてくれたように思いやりをもって接していきたい。

西安に旅行したときの写真