世界へ架かる橋を渡って

2025年12月1日号 /

2025年9月12日~27日に中国北京・天津で行われた世界大会出場に随行してきた。

102か国119名の代表選手と、その教師もしくは保護者が同行しており、全員が揃うとその規模感に圧倒された。文化的背景も様々で、中国語がまったくできない保護者やそれほどできない選手もおり説明は英語でもフォローされていた。私は訪中団等随行経験も多いが、多国籍の大所帯を取りまとめる運営側の苦労を思うと頭が下がった。

今回は最初に北京、その後天津へ移動し、主たる大会は天津で行われた。天津師範大学の学生ボランティアが運営を支えており、数か国に1名の担当ボランティアがついてくれ、大変助けになった。

3日目、中外語言交流合作センターを訪問し、中国文化を体験した上田さん(左)

プログラムも充実しており、15日間ほぼ毎日朝から夜までプログラムが組まれていた。大人には体力的に少々ハードな日程であったが、伝統文化から最新技術まで中国の魅力を余すことなく見せていただいた。

3日目、故宮見学の様子を紹介するビデオ撮影に応じた上田さん(中央)たち

全体を通して印象的だったことのひとつは、本格的な撮影である。毎日メディアが密着しており、選手たちの訪問や体験の感想インタビューのみならず、密着型ドキュメンタリーのようなものや、選手がレポーターとして視察先を紹介するなど、様々な趣向の動画が撮影された。かねてより中国はこうしたプロモーションビデオ作成が非常に上手いと思っていたが、漢語橋でも魅力的に大会を紹介している。決勝大会もさながらクイズ番組のような設えで、非常にエンタメ性があった。興味のある方はぜひ記載のリンクから視聴してほしい。

15日目、決勝大会。五大陸の代表が正々堂々と競い、モンテネグロの選手が優勝した

各国選手たちのレベルの高さも強く印象に残った。中国語の発音が上手なだけではなく、まだ中高生とは思えない語彙の豊かさで、中国に関する知識も広く、中国人の先生方も舌を巻くような選手が多数いた。

6日目、中国語スピーチ予選で発表する上田さん

そのような中で上田さんはよく健闘し、優秀賞を受賞した。上田さんは英語も堪能であり、世界中の出場選手と臆することなく交流し、中国への関心を軸に友情を深めていた。大会の目的である「世界各国の青年の相互学習と交流のプラットフォーム構築・中国への理解促進」を存分に果たせたのではないだろうか。

中国語を学ぶ中高生の方にはぜひ漢語橋に出場してその世界を広げてほしい。中国語教師の方も得難い経験となるので積極的に生徒さんを出場させていただきたい。

一方で、世界という大きいものに圧倒されて、漢語橋への出場をためらわないでほしい。これまで日本大会に出場した選手の多くから、周りに中国に関心のある仲間が少なく意欲低下したこともあったが、日本大会で中国への思いを同じくする友人ができ意欲が高まった、という声も聞いた。まずは国内での仲間づくりのために出場し、そこから世界を広げていくのもいいかもしれない。

漢語橋はただの中国語コンテストではない。中国語を学ぶということは、ただ中国への一本の橋を架けるのではなく、日本中そして世界へひらかれた大きな橋を渡り、志を同じくする仲間に出会えるということなのだと、そう実感している。

(理事・全国青年委員会委員長 小田玲実)

関連リンク

世界大会のページでは、精彩视频の「《追梦中文》友谊篇」、短视频の「中学生选手京剧体验」などに上田さんが登場します。試合の様子も全編見られます。