五感で学び、友好・交流を深め、未来を創る6日間

2025年12月1日号 /

第8回九州・山口日中友好交流訪問団は、2025年10月22日から27日までの6日間、北京・南京・上海を訪問した。訪問団は39名の内、高校生や大学生等10代・20代が23名、若い世代が過半数を上回ったのが特徴的で、福岡県日中友好協会等の役員が広く、九州・山口各県の友好協会や大学関係者等を通して訪中を呼びかけた成果と言える。

事前に行った結団式・説明会には28名が参加し、今年は、日中15年戦争終結80年、全国並びに福岡県日中友好協会設立75周年の節目の年であることから、これまでの経緯を踏まえ、「戦争と平和」を体験学習すること並びに中国の文化・歴史的発展を五感で学ぶこと、そして、次世代の交流に向け、帰国後に報告・発信することを訪中の趣旨とした。


北京国際空港に降り立った翌日の23日は、全員で今年リニューアルされたばかりの中国人民抗日戦争記念館を見学。「満州事変」(柳条湖事件)と「盧溝橋事件」から始まる悲惨な日中戦争の経緯を写真や資料で学ぶことができた。

その後、訪問団は、万里の長城見学グループと外交部訪問グループに分かれ、中国の悠久の歴史と両国間の交流の重要性を学んだ。外交部訪問では、役員の他、学生の約半数が、「亜州司」(アジア課)の楊宇公使と会見、多方面からの質疑応答で、時間が過ぎるのが早く感じられた。その後、2グループは合流し、今年3月「九州地区日中友好交流大会」に来福いただいた人民対外友好協会の楊万明会長と会見。森山団長との会見を全員が真剣な眼差しで聞き入っていたのが印象的だった。ありがたいことに、夜には歓迎晩餐会まで開いていただいた。

翌日24日は、高鉄(新幹線)で車窓を楽しみながら南京市へ。今回の訪問の第2の目的である南京大学学生との交流会。互いが事前に送ったメールに応答する形式で会が進み、笑みもこぼれる。「若者の恋愛・結婚観の変化と背景」といった問いに両国共通の課題が見え、共感できることが多かった。夜には、福岡県と友好都市である江蘇省の人代常委会に招待歓迎宴を催していただいた。

笑顔いっぱい! 南京大学キャンパスにて

25日は、「南京大虐殺犠牲者記念館」を訪問、平和集会を開き、平和宣言文を採択した後、館内を職員の説明を受けながら見学。写真や資料の展示は日本語訳もされており、「要记住历史、不要记住仇恨(歴史をしっかりと銘記しなければならないが、恨みは記憶すべきでない)」の言葉が記憶に残る。被害者側に加え加害者側からの両面で「侵略戦争」を捉え、未来を創ることの重要性を再確認した2時間であった。

平和宣言文採択。南京大虐殺犠牲者記念館にて

26日は、上海市人民対外友好協会を表敬訪問した後、中国共産党大会会場跡地を見学、国を憂い新しい時代を築こうとする若者の熱意に触れることができた。午後は、多くの観光客と一緒に豫園を見学、近くの市場で買い物も楽しむことができた。

翌日、上海浦東空港から帰路につく。「一衣帯水」で「引っ越しできない」両国であるからこそ、敵対するのではなく、話しあい、友好を広げ深める努力を続けることが不可欠だ。皆の胸中はそのような思いであったに違いない。


2012年の「島問題」に端を発した日中間の緊張関係が続く中、九州6県の九州地区日中友好協会は2013年9月、中国駐福岡総領事館と共催で、福岡市にて九州日中友好交流大会を開き、翌年、「民を持って官を促す」をモットーに、「九州・山口日中友好交流訪問団」の第1回を実施した。以降8回を数える訪問。「飲水思源(水を飲む際には、井戸を掘った人の苦労を思え)」を再認識した6日間でもあった。

(福岡市日中友好協会事務局長 落石俊則)